FIM移動(歩行・車いす)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

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FIM(Functional Independence Measure)の「移動(歩行・車いす)」は、患者が自立して50mまたは15mを移動できるかどうかを7段階で評価し、リハビリテーションの進行を追跡します。
本記事ではFIM移動(歩行・車いす)評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける移動(歩行・車いす)の評価について

FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)の「移動(歩行・車いす)」は、患者の日常生活動作の一部を評価する重要な項目です。
この評価では、50mおよび15mの移動能力を基準に、介助の必要性や自立度を7段階で評価します。

退院時の移動手段が予測される場合でも、入院時に両方の移動手段を評価し、最終的な自立度を把握するための指標として使用され、リハビリテーションの進行を追跡するための重要なツールとなります。

FIM移動(歩行・車いす)の評価対象の項目

FIM移動(歩行・車いす)の評価対象の考え方としては…

  • 15mの平地での移動動作
  • 50mの平地での移動動作

…が可能かどうかになります。
それぞれ解説します。

15mの平地での移動動作

FIMにおいて、車いすもしくは歩行での移動能力を評価する際には、15mの平地での移動動作が最初の評価の対象となります。
この評価は、患者が短い距離をどの程度自立して移動できるかを測るもので、リハビリテーションの初期段階や患者の基礎的な移動能力を把握するのに適しています。

具体的には、15mの移動が自立して行える場合は5点、75%以上の介助が必要な場合は3点、全介助が必要な場合は1点と評価されます。
短い距離での評価は、患者の基本的な移動能力や日常生活における基本的な機能を評価するために重要です。
また、これにより、リハビリテーションの進行度を詳細に追跡し、個別のリハビリテーションプランを作成するための基礎データとしても活用されます。

50mの平地での移動動作

FIMにおいて、車いすもしくは歩行での移動能力を評価する際の次の段階として、50mの平地での移動動作が評価の対象となります。
この評価は、患者が長い距離をどの程度自立して移動できるかを測るもので、リハビリテーションの進行度や患者の全体的な移動能力を把握するのに適しています。
具体的には、50mの移動が完全に自立して行える場合は7点、杖などの歩行補助具を使用して自立できる場合は6点、監視や助言が必要な場合は5点、最小限の介助が必要な場合は4点と評価されます。

長い距離での評価は、患者の日常生活における実際の移動能力や社会参加の能力を評価するために重要です。
また、これにより、リハビリテーションの進行度を詳細に追跡し、効果的なリハビリテーションプランの策定に役立つ重要なデータを提供します。

FIMでは、15mおよび50mの平地での移動動作を評価し、患者の自立度を詳細に把握することが重要なんだ!
これにより、適切なリハビリテーションプランの策定と進行度の追跡が可能になるんですね!

FIM移動(歩行・車いす)の採点基準

FIM移動(歩行・車いす)の採点基準と具体例については次の通りになります。

7点:完全に自立

患者が補助具や介助なしで50mを歩行または車いすで自立して移動できる場合。
例: 患者が病院の廊下を誰の助けも借りずに50m歩いて移動できる。

6点:修正自立

患者が杖や歩行器などの補助具を使用して50mを自立して移動できる場合。
例: 患者が杖を使って50mを歩行し、他人の助けなしで移動できる。

5点:監視もしくは準備が必要

患者が助言や準備、監視があれば50mの移動が可能である場合。
例: 患者が50mを歩行する際に介助者がそばで見守っていることで安全に移動できる。また、15mから49mの範囲を自立して移動できる場合も含まれる。

4点:最小限の介助が必要

患者が50mを移動する際に最小限の介助が必要だが、75%以上は自分で移動できる場合。
例: 患者が50mを歩行する際に介助者が腕を軽く支える程度の補助が必要だが、大部分は自分で移動できる。

3点:中等度の介助が必要

患者が50mを移動する際に中等度の介助が必要であり、50%から74%の範囲を自分で移動できる場合。
例: 患者が50mを歩行する際に介助者が体を支えて半分程度の力で移動を助ける必要がある。

2点:最大限の介助が必要

患者が15mを移動する際に最大限の介助が必要であり、25%から49%の範囲を自分で移動できる場合。
例: 患者が15mを歩行する際に介助者がしっかりと支えているが、一部自分でも移動に参加している。

1点:全介助が必要

患者が全ての移動を介助者に依存しており、15mの移動でも完全に介助が必要な場合。
例: 患者がベッドから車いすに移るために介助者が全ての動作を行う

FIMの移動(歩行・車いす)の採点基準は、患者の自立度や介助の必要性を具体的なスコアで評価し、リハビリテーションの進行状況を追跡する重要な指標なんだ!
それぞれのスコアには、患者の移動能力と介助のレベルを示す具体的な例が含まれているんですね!

FIM移動(歩行・車いす)評価の注意点

FIM移動(歩行・車いす)評価の注意点としては…

  • 移動手段の選択
  • 評価範囲の理解
  • 採点の一貫性
  • 採点の解釈

…があげられます。
それぞれ解説します。

移動手段の選択

FIMの「移動(歩行・車いす)」の評価では、入院時に車椅子を使用している患者であっても、退院時に歩行が予想される場合は、入院時の評価も歩行で行います。
これにより、患者の最終的な移動能力を正確に把握し、適切なリハビリテーション計画を立てることができます。
予測が立たない場合には、入院時に歩行と車いすの両方を評価し、最終的な退院時の移動手段に基づいて評価を決定します。

例えば、入院時には車いすでの移動が必要だった患者が、リハビリテーションの結果として退院時には歩行が可能になる場合、最初から歩行での評価を行うことで、リハビリテーションの成果をより正確に反映できます。
これは、患者の自立度を最大限に評価し、将来的な生活の質を向上させるために重要です。

評価範囲の理解

FIMの「移動(歩行・車いす)」の評価範囲は、歩行では立位の状態からの移動、車いすでは座位の状態からの移動を評価します。
具体的には、歩行を評価する際には、患者が立位の状態から自立して移動できるかどうかを測りますが、この際に「起立」そのものは評価対象には含まれません。
同様に、車いすの評価では、座位から自力で移動できるかを評価しますが、車いすからの「立ち上がり」は評価に含まれません。
これにより、純粋な移動能力を評価することが可能となり、移動に関する自立度を正確に測定できます。

例えば、患者が座位から自立して歩行できる場合、その移動能力が高く評価され、リハビリテーションの目標設定に役立ちます。

採点の一貫性

FIMの採点では、入院時と退院時の移動手段を統一して採点することが重要です。
これは、入院期間中に患者の基本的な動作能力が改善されたにもかかわらず、異なる移動手段で採点することでFIMの点数が低下することを防ぐためです。
例えば、入院時に車いすで移動していた患者が退院時に歩行が可能になった場合、入院時から一貫して歩行で評価することで、リハビリテーションの効果を正確に反映することができます。
これにより、患者の進歩を正確に評価し、リハビリテーションの成果を適切に測定することができます。

また、一貫した採点は、患者の自立度を正確に記録し、今後の治療計画にも役立ちます。

採点の解釈

FIMの採点は、患者が歩行であっても車いすであっても「50mの移動が可能か」を大きな目安にしています。
50mの移動が完全に自立して行える場合は高得点となりますが、15mの移動しかできない場合でも、自立して移動できるかどうかによりスコアが変わります。
例えば、50mの移動は介助が必要でも、15mの移動は介助や見守りなしで可能な場合、その患者は5点と評価されます。
これにより、患者の移動能力をより詳細に評価し、適切なリハビリテーション計画を策定できます。

このような採点の解釈は、患者の自立度を正確に反映し、効果的なリハビリテーションを行うための基礎となります。

FIMの「移動(歩行・車いす)」の評価は、患者の自立度や介助の必要性を詳細に把握するための重要なツールといえるんだ!
移動手段の選択、評価範囲の理解、採点の一貫性、採点の解釈など、様々な要素を考慮することで、患者のリハビリテーションの効果を最大限に引き出すことができますね!

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