頭蓋内圧が亢進した状態に対してはどのような治療を行うのでしょうか?
本記事では、頭蓋内圧亢進の治療について解説します。
頭蓋内圧亢進の治療法
頭蓋内圧亢進の治療は、主に…
- 内科的治療
- 外科的治療
…に分かれます。
それぞれについて解説します。
内科的治療
まずは頭蓋内圧亢進に対する内科的治療についてです。
頭蓋内圧亢進の原因を取り除く治療…というよりは、症状に伴う合併症を防ぐための対症療法になります。
主なものとしては、次のようなものがあげられます。
- 浸透圧利尿薬
- 副腎皮質ホルモン
- バルビツレート療法
- 低体温療法
以下にそれぞれ解説します。
浸透圧利尿薬
浸透圧利尿薬は、脳の浮腫を減少させることにより頭蓋内圧を下げるために用いられます。
最も一般的な薬剤はマンニトールで、血液中の浸透圧を上げることで脳から水分を引き出し、利尿を促進します。
この治療法は、脳の浮腫によって頭蓋内圧が急激に上昇した場合に特に有効であり、迅速な圧力低下をもたらすことができます。
しかし、長期的な使用は電解質不均衡などの副作用を引き起こす可能性があるため、慎重な監視が必要です。
副腎皮質ホルモン
副腎皮質ホルモン、特にデキサメタゾンは、脳腫瘍や脳炎などによる脳の浮腫を減少させるために使用されることがあります。
これらの薬剤は、脳組織の炎症反応を抑制し、脳浮腫の軽減に寄与します。
副腎皮質ホルモンは、特に脳腫瘍の患者において症状の改善をもたらすことがありますが、長期使用には副作用のリスクが伴うため、適切な監視が必要です。
バルビツレート療法
バルビツレート療法は、薬物誘発性の昏睡を作り出すことで、脳の代謝要求を減少させ、頭蓋内圧を低下させるために用いられることがあります。
これは、特に治療抵抗性の高い頭蓋内圧亢進の場合に考慮されることがあります。
バルビツレートは脳の活動を抑制し、酸素消費と代謝需要を減少させることにより、頭蓋内圧を下げる効果があります。
しかし、この治療は重篤な副作用のリスクがあり、患者の厳密なモニタリングが必要です。
低体温療法
低体温療法は、体温を人工的に下げることで脳の代謝を減少させ、頭蓋内圧を管理する方法です。
低体温は脳の酸素消費を減少させ、脳組織の損傷を最小限に抑える効果があります。
この治療は、特に重篤な脳損傷や脳出血後の患者において有効であることが示されていますが、感染のリスクや体温調節の問題など、注意が必要な副作用もあります。
外科的治療
一方、頭蓋内圧亢進に対する外科的治療はどのようなものがあげられるのでしょうか?
ここでは…
- 脳室ドレナージ術
- 開頭腫瘍摘出術
- 外減圧術
…について解説します。
脳室ドレナージ術
脳室ドレナージ術は、脳内の過剰な脳脊髄液(CSF)を排出することで頭蓋内圧を減少させる手術です。
この手術は、水頭症や脳出血などによる脳脊髄液の異常蓄積が原因で頭蓋内圧が上昇した場合に行われます。
手術では、脳室に小さなカテーテルを挿入し、脳脊髄液を脳外に排出します。
この処置は、頭蓋内圧の迅速な低下をもたらし、脳の圧迫を解放します。
開頭腫瘍摘出術
開頭腫瘍摘出術は、脳腫瘍が頭蓋内圧亢進の原因である場合に行われる手術です。
この手術では、腫瘍を物理的に摘出し、脳への圧迫を減少させます。
腫瘍の位置、大きさ、種類によって手術の複雑さが異なり、患者の状態や腫瘍の特性に応じて適切な手術方法が選択されます。
開頭腫瘍摘出術は、脳機能の損傷を最小限に抑えつつ、腫瘍を除去し、頭蓋内圧を正常化することを目的としています。
外減圧術
外減圧術は、頭蓋骨の一部を外すことで脳に追加のスペースを提供し、頭蓋内圧を低下させる手術です。
この手術は、重篤な頭部外傷、脳浮腫、重度の脳出血などで頭蓋内圧が危険なレベルに達した場合に行われます。
外減圧術により、脳の腫れが拡大するスペースが提供され、脳の圧迫とそれに伴う損傷が軽減されます。
この手術は、他の方法で管理できない重度の頭蓋内圧亢進に対して効果的な治療選択肢となり得ます。。