リフトオフテスト(Lift-off test)- 肩甲下筋損傷の徒手的評価について

検査

肩甲下筋損傷への徒手的な検査方法のひとつとして“リフトオフテスト(Lift-off test:LOT)”があげられます。
今回は、このリフトオフテストの目的や方法、診断学的有用性について解説します。


リフトオフテストとは?

リフトオフテスト(Lift-off test:LOT)は、肩関節の検査法の一つで、肩甲下筋の機能評価に用いられます。
この検査法の目的としては、肩甲下筋の断裂や損傷を調べるために行われます。

リフトオフテストの検査方法

ここではリフトオフテストの検査方法について解説します。
検査の流れとしては次の通りになります。

  1. 患側の手を背中に回し、手の甲を腰に当てる
  2. 患側の手を腰から離すように力を入れる
  3. 腰の方に手を押して抵抗を加える
  4. 肩関節後面の痛みを確認する

…になります。
以下に詳しく解説します。

患側の手を背中に回し、手の甲を腰に当てる

被験者は立位姿勢で、

  • 肩関節伸展位
  • 肩関節内旋位
  • 肘関節屈曲位

…の検査肢位になり、手の甲を腰に当てるようにします。

患側の手を腰から離すように力を入れる

検者は被験者の背面に立ち、手を背中から遠ざけるように指示を出します。
この肢位をリフトオフ肢位と言います。

腰の方に手を押して抵抗を加える

手を腰から離せた場合は、その状態を保持するように指示し、そこから腰の方に抵抗を加え手を押してみます。

肩関節後面の痛みを確認する

肩関節後面の痛みを訴えるorリフトオフ肢位をとることができなければ肩甲下筋の全層損傷の可能性があります。
また、リフトオフ肢位での外旋筋力が低下していれば部分損傷の可能性があります。

リフトオフテストの診断学的有用性

リフトオフテストにおける診断学的有用性については次の通りになります。

著者 信頼性 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
Micheroli R,et al(2015) Kappa=0.21 100 55 2.22 0
Lasbleiz S,et al(2014) 肩甲下筋腱炎・痛み NR 0 94.1 0 1.06
肩甲下筋腱炎・筋力低下 NR 0 82.3 0 1.21
肩甲下筋全層損傷・痛み NR 50 100 0.5
肩甲下筋全層損傷・筋力低下 NR 75 91.2 8.5 0.27
Yoon JP,et al(2013) NR 12 100 0.88
Yuen CK,et al(2012) 肩甲下筋腱損傷 NR 43 71 1.5 0.8
回旋筋腱板全層損傷 NR 39 74 1,51 0.82
Alqunaee M,et al(2012) 筋力低下 NR 42 97 16.47 0.59
Barth JR,et al(2006) NR 17.6 100 0.82
OstorAJ,et al(2004) kappa=0.28-0.32 NR NR NA NA

リフトオフテストは肩甲下筋の筋力低下を確認するための自己診断としても活用できるね!
もちろん他の検査とも併用することが重要でしょうね!

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