栄養の状態が悪いと、様々な症状を引き起こすだけでなく死亡のリスクを高める場合もあります。
今後はリハビリセラピストとしても、この栄養障害について知っておかないといけません。
今回は、栄養障害の…
- 定義
- 種類
- 二重負荷
- 栄養障害に伴う疾患
…などについて解説します。
栄養障害とは?
まず、栄養障害とはどのようなものになるのでしょうか?
定義としては次のように説明されます。
…となります。
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栄養障害の種類
栄養障害は大きく次の2つに分けることができます。
- マラスムス
- クワシオルコル
以下に詳しく解説します。
マラスムス
マラスムス(marasmus)は、補給栄養素全体が不足している状態であり、タンパク質-エネルギー栄養障害の一種になります。
つまり、体に備蓄されたエネルギーとタンパク質がいずれもすべて枯渇するものを指します。
症状としては…
- 著しい体重減少
- 全身衰弱
- 老人様顔貌
- 皮下脂肪の消失
- 筋萎縮
…などがあげられます。
なお、一般的に血清アルブミンは正常値を保つことが多く、その結果浮腫はあまり確認できないのが特徴とも言えます。
クワシオルコル
クワシオルコル(kwashiorkor)は、栄養素のうち主にタンパク質の供給が不足している状態(タンパク質欠乏症)を言います。
エネルギー不足よりもタンパク質の欠乏した食事に由来する栄養失調症になります。
症状としては…
- 著明な筋委縮
- 皮膚の色素沈着や剥離
- 赤く光沢のない毛髪
- 下痢
- 貧血
- 精神症状
…などがあげられます。
また、著明な筋委縮の割に皮下脂肪は比較的保たれ、脂肪肝をみとめるのも特徴と言えます。
熱帯や亜熱帯地域の発展途上国の子供に多くみられる症状です。
離乳期に発症することが多く、発育障害と浮腫を特徴とします。
このクワシオルコルの場合、良質のたんぱく質とアミノ酸の補給が主な治療方法になります。
栄養障害の二重負荷とは?
栄養障害における社会問題として、『栄養障害の二重負荷(Double burden of malnutrition)』というものがあります。
この栄養障害の二重負荷とは…
ある集団内で、低栄養と過剰栄養が同時に起こること
…と定義されています。
一昔前まで、開発途上国においての栄養障害の課題は…
- 都市部の富裕層の過剰栄養
- 農村部の貧困層の低栄養
…という構図でした。
しかし、最近では安価な加工食品が農村部でも手に入りやすくなったことから、農村部でも過剰栄養の問題が見られるようになってきています。
そのため、開発途上国や低所得国・中所得国でも肥満が増大している…という現象が起きています。
栄養障害に伴う他の疾患について
ここでは栄養障害に伴って起こる疾患や症状について解説します。
栄養障害型表皮水疱症
表皮水疱症全体の約5割と最も多い病型であり、爪病変と瘢痕または皮膚萎縮を残すことを特徴とする疾患群です。
栄養障害性浮腫
低栄養状態…特にタンパク質不足によって起こる浮腫になります。
タンパク質不足によって血管内のタンパク質の濃度が低下している時は、血管内への浸透圧が低下している状態になります。
そのため、血管内に水分を吸収することができず、その結果浮腫という症状を起こしてしまいます。
栄養障害性肝障害
栄養障害性肝障害の原因としては、食事摂取の過不足、あるいは不均衡によって起こることが多いようですが、食品による中毒性因子による場合もあります。
その種類として…
- 脂肪肝:糖質過剰摂取によって起こる
- クワシオルコル:たんぱく質摂取不足によって起こる
- ヘモクロマトーシス:鉄の摂取過剰によって起こる
- アルコール性肝障害:アルコールの摂取過剰によって起こる
…などがあげられます。
栄養障害性ミオパシー
栄養障害性ミオパシーの種類としては…
- ビタミンB1欠乏によって起こる脚気
- ビタミンD欠乏
- ビタミンE欠乏などのビタミン欠乏性のミオパシー
- 吸収不良症候群におけるミオパシー
- アルコール性ミオパシー
…などがあげられます。
栄養障害と栄養失調との違い
“栄養障害”との類義語として“栄養失調”があげられます。
栄養失調とは…
偏食や食料の不足…つまり、多すぎたり少な過ぎる食事や1つ以上の重要な栄養の不足した食事により引き起こされる不健康の状態
…と定義されます。
一般的には栄養失調も栄養障害と同義語として使用されています。
ただし、栄養失調の場合はときに栄養素の過剰症によって招いた病的な栄養状態を指すこともあります。
まとめ
本記事では栄養障害について解説しました。
最近はリハビリの効果と栄養の重要性も言われていますから、セラピストとしてもしっかりと栄養について知識を養わないといけませんね。
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