コロトコフ音

コロトコフ音とは、血管が開く瞬間や急激な圧力波が生じることによって発生する音を指します。
具体的には、血流の渦による血管壁の振動や脈波による血管壁への衝撃が原因です。

コロトコフ音は、カフの圧力が変化するにつれて5つの段階に変化します。

第1相:音の出現(Swanの第1点) カフによる圧迫によって閉塞されていた血管が開き、一時的に血流が再開されます。その際、血流が末梢の血液の溜まりにぶつかることで明瞭な叩打音(トントン、タップ音)が聞こえます。この叩打音は、血流量が少ないため乱流が発生せず、雑音は生じません。この時の血圧を収縮期血圧(最高血圧)と呼びます。
第2相(Swanの第2点) 血流面積が広く、時間が長くなると、逆に叩打音は小さくなります。これは、血液が広い範囲に広がっているためです。また、非圧迫部に流れ込む血液の流量が増えるため、乱流が生じて雑音(ザーザー)が混じることがあります。
第3相(Swanの第3点) 開口面積がさらに大きくなると、非圧迫部との違いがなくなり、乱流が起こりにくくなります。その結果、雑音は消失します。代わりに、非圧迫部の血液の溜まりに血流がぶつかることで、鈍い叩打音(ドンドン)のみが聞こえるようになります。
第4相(Swanの第4点) 血液の流量が増えると、非圧迫部の血液滞留時間が短くなります。その結果、叩打音は急速に小さくなります。
第5相:音の消失(Swanの第5点) 圧迫部と非圧迫部の血流の流速差がなくなると、叩打音は消失します。このときの血圧を拡張期血圧(最低血圧)と呼びます。
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