仕事のストレスってほぼ人間関係が原因…と言われています。
- 先輩や上司がすぐに機嫌を悪くし怒鳴る。
- 誰も助け合わないで、足を引っ張りあってる。
- もう少し働きやすい職場ならいいのに。
…こんな悩みはだれもが経験していると思います。
一日のほとんどの時間を過ごす職場なのに、人間関係がギスギスしていれば相当なストレスです。
ただ、このギスギスして働きにくい…なんて時は、多くの場合相手を偏った見方の“私的倫理”で判別してしまっている場合がほとんどになります。
今回はこの私的倫理についてと、それによってもたらされる誤った見方、その対策についてアドラー心理学を軸にまとめてみました。
私的倫理とは?
この“私的倫理”とはアドラー心理学で提唱されている“独自の身勝手な価値基準”のことを指します。
端的に言えば、その人独自の“こだわり”や“主義”、“主張”といったものになります。
そもそも人が他者を判断するときは多少なりとも“偏見”というバイアスがかかってしまうことを認めることが重要です。
そりゃあ年齢や性別、育ってきた環境や教育歴、趣味だけでなく嗜好も思考も違うんですから。
完全な客観視というものはなく、自分も他人もできない…ということを知ることが良好な人間関係を構築するうえでの第一歩と言えます。
色んな人がそれぞれの色眼鏡で相手を見てしまうんです。
これがまず前提です。
私的倫理によってもたらされる5つの誤り
では、この私的倫理によって人間関係にどのような“誤り”を起こすのでしょうか?
結論から言えば次の5つが代表としてあげられます。
- 見落とし
- 誇張
- 決めつけ
- 過度の一般化
- 誤った価値観
それぞれ解説します。
見落とし
私的倫理によってもたらされる「見落とし」は、『9割成功した案件で1割の失敗を責めるようなケース』のような、ある一部分だけをみて、大事な部分をみない状況を指します。
多くの場合は相手へのネガティブなイメージが先入観として強くあるため、事実よりもその強い先入観のイメージに当てはめてしまうことが多くあります。
これも偏見の一種ですね。
誇張
職場の一人とうまく関係性が構築できない。
それだけで「みんな自分のことがきらいなんだ」と考えてしまう。
1の物事をまるで10のように扱うことを「誇張」と言います。
低いセルフイメージの場合、この誇張の傾向が強くなるようです。
決めつけ
職場の同僚や後輩に「あいつは使えない」など、あくまで“可能性”にすぎないことにレッテルを貼って断定的に判断することを指します。
こうなると、その人の一部の悪い側面しか見ないので、多くの場合相手の社会的、職業的な成長にストップをかけてしまいます。
過度の一般化
ある社員の失敗を会社全体の失敗とみなすなど、たった一つの問題を拡大解釈をすることで一般化し、多くのケースに当てはめようとすることを言います。
誤った価値観
職場で些細なミスをしたとします。
それが…
- 「こんな初歩的なミスをする自分は会社を辞めるべき」
- 「この仕事に向いてない」
…など極端に自滅的、破壊的な視点でものごとを見る事が「誤った価値観」です。
これもセルフイメージの低さが招くバイアスがかかった解釈と言えます。
私的倫理を脱して人付き合いをする習慣とは?
ではいったい、どうしたら少しでもこの私的倫理を持たないようにできるのでしょうか?
思うに…
まず上述した「5つの誤り」を知ること。
…かなと思います。
そうすると、自分でも職場の他者からでも、バイアスのかかった私的倫理の言葉と気づくことができます。
そのうえで…
他者の視点で客観視するように習慣化すること。
このステップが良好な人間関係を構築するための1歩と言えます。
加えて、そのために必要なのは他者の目で見、他者の耳で聞き、他者の心で感じることが重要です。
相手に関心を持ち、一体の感情を得る感覚である“共通感覚(コモンサス)”を得る事が重要とアドラーは提唱しています。
共通感覚=同情ではない
この共通感覚ですが、よく間違えがちなのは相手との一体の感情を得るために“同情的”になってしまうことです。
これでは無意識でも相手を下にみることになるので、共通感覚とは言えません。
あくまで“一歩引いて中立的な立場全体を観る”イメージになります。
重要なのは相手の長所を見つける事
そうなると、私的倫理に振り回されず相手を知るためには…
- 短所を長所に変えてみてみる
- 優秀な部分に注目する
- 長所がなければ距離を置く
…ということがポイントになってくると言えます。
良好な人間関係を構築するためには、まず自分の私的倫理を払拭し、なるべく共通感覚で判断することが重要なんでしょうね!
まとめ
今回は、偏ったものの見方・考え方である“私的論理”について解説しました。
独自の身勝手な価値基準である“私的倫理”を軸に相手を見てしまうと、様々な誤りがある判断になってしまい良好な人間関係の構築に支障をきたしてしまいます。
このような偏見を持ったまま職場で相手を判別していると、自然とその職場はギスギスした雰囲気になってしまうのは当然です。
その結果自分も相手も社会的、職業成長にストップがかかってしまいます。
それを打開するためにも、一歩引いた他者の目で相手に関心を持つ“共通感覚”を意識しすること。
そして相手の短所を長所として変換して見ること。
優秀な部分を探し注目することで、私的倫理に振り回されず良好な人間関係を構築することができるようになるのではないでしょうか?
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