“疾病”と“疾患”の違いについて【情報共有の観点からも必要なことなんです】

臨床や現場で普段何気なく使っている“疾病(しっぺい)”と“疾患(しっかん)”という単語。
この語の違いって、明確に理解したうえで使っている人は少ないのかもしれません。

そこで今回は「疾病と疾患の違い」について解説します。

疾病と疾患との違いについて

疾病と疾患の違いについてですが、まずそれぞれの語の定義について。

疾病とは?

疾病(しっぺい)とは英語で“illness”と訳されます。

この疾病は通常…
健康に対する病的状態
…を意味します。

一般的に、人や動物の体内に生じる何らかの異常を示すということです。
これは、感染症、代謝異常、腫瘍、心血管疾患など、多様な病気を指すことができます。

また疾病は、生物学的な変化、病理学的な変化、臨床症状や身体的・心理的・社会的な障害など、多様な側面を有しています。

つまり、疾病は様々な病気について集合的に指す場合に使用されることになる…という解釈です。

“疾病”の具体例

疾病は病気について集合的に指す場合に用いられます。
よく聞く語としては、生命保険などの話で「三大疾病」なんて言葉です。

“がん(悪性新生物)”・“急性心筋梗塞”・“脳卒中”の3つを指しますので、幅広い範囲の病気を対象としています。
そのため「三大疾患」とは言わず、「三大疾病」と表現することになります。

疾患とは?

一方、疾患(しっかん)とは英語で“disease”と訳されます。

この疾患は通常…
一定の原因と症状、経過、予後、治療方法などを備えた病的な状態
…を言います。

つまり、医療的な観点から定義される疾病の状態で、特定の病態や症状を示す疾病の具体的な形態を指すということです。
たとえば、糖尿病や高血圧などの病気は、疾患として認識されます。

疾患は、医療従事者によって診断され、治療や管理が行われますからね。
また、疾患は症状のある場所を具体的に指す際に使う傾向があるようです。

“疾患”の具体例

“疾患”は病的な状態がある場所を具体的に指す場合に用いられます。

つまり例としては…

  • 心疾患(心臓に病的な状態がある)
  • 消化器疾患(消化器に病的な状態がある)
  • 精神疾患(精神に病的な状態がある)

…といった具合です。

決して「心疾病」なんては表現しませんからね。

ちなみに「病気」との違いは?

「疾病」と「疾病」との違いは上述しましたが、近い意味の言葉で「病気」という語もあります。
この「病気」とはどういう意味の違いがあるのでしょうか?

病気とは…
体の全部または一部が、生理状態の悪い変化を起こすこと
…と表現されます。

あくまで「気」という言葉が入っていることからも、人の心や気持ち、感情といったものも関わった上での状態の悪化というニュアンスがあります。
その点からも、「病気」という言葉は医学用語としてはあまり使われない…という傾向があるようです。

それぞれ英語から考えてみる

「疾病」「疾患」「病気」の語をそれぞれ英単語から考えてみます。
それぞれ重複する訳され方もあるのですが、

  • 疾病:illness
  • 疾患:disease
  • 病気:sick

…という分け方が多いようです。

大きな違いですが、「sick」は「病気」の他に「むかむかする」「うんざりして」といった状態を表す場合にも使用される語のようです。
「desease」や「illness」はあくまで名詞ですので、この状態を表す形容詞的な意味はありません。

まとめ

今回は「疾病と疾患の違い」について解説しました。

簡単に言うと、疾病は生物学的な変化を示す一方、疾患は医学的に診断された病気の具体的な形態や状態を指します。
疾患は、疾病の一種として認識され、医療従事者によって診断・治療されます。

…こんな感じです。

情報共有や正しい情報を伝えるためには、それぞれの語の意味や違いは把握しておくべきかなーと思い、備忘録がてら調べてみました。
疾病と疾患、病気といった言葉は似ているからこそ、きちんとした使い分けをする必要があるのでしょうね!

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