亜鉛キレート作用とは?【亜鉛不足になると起こる13の症状について】

亜鉛って重要な栄養の一つです。
この亜鉛が不足すると味覚障害をはじめ様々な症状を引き起こしてしまいます。
また、高齢者の亜鉛不足が多い背景には、亜鉛キレート作用が関与している場合もあります。

今回は…

  • 亜鉛キレート作用について
  • 亜鉛不足による症状
  • 高齢者と亜鉛不足の問題

…などについて解説します。

亜鉛キレート作用とは?

そもそも“キレート作用”とはどのようなものでしょうか?

このキレート作用とは…
化学物質が金属イオンを包み込むような形で結合すること
…を言います。

つまり、亜鉛キレート作用とは…
体内の亜鉛が何かしらの原因でキレート結合を引き起こすし、体外に排出されやすくなること
…ということになります。

こうなると、どんなに亜鉛を摂取しても体内に吸収されず、結果として亜鉛不足に陥ってしまいます。

亜鉛不足による症状とは?

では、体内の亜鉛が不足するとどのような症状が起こり得るのでしょうか?
典型的な症状としては次のようなものがあげられます。

  • 味覚障害
  • 貧血
  • 皮膚炎
  • 口内炎
  • 脱毛症
  • 難治性の褥瘡(床ずれ)
  • 食欲低下
  • 下痢
  • 発育障害
  • 性腺機能不全
  • 不妊症
  • 易感染性
  • 骨粗鬆症

以下にそれぞれ解説します。

味覚障害

亜鉛不足による症状で代表的なものとしては、味覚障害があげられます(亜鉛欠乏性味覚障害)。
人間の舌で味覚を感じるためには、舌にある“味蕾(みらい)”の中の“味細胞(みさいぼう)”の働きが重要になります。
この味細胞から味覚神経を介して脳の味覚中枢へ情報が送られることで“味覚”として認識できる…というメカニズムになります。

しかし、この味細胞は短い周期で生まれ変わる性質があり、そのためには亜鉛が必須になります。
そのため体内の亜鉛が不足すると、新しい味細胞がつくられなくなり、その結果味覚障害を引き起こしてしまいます。

貧血

体内で赤血球をつくるには亜鉛が必須になります。
その結果、亜鉛不足になると貧血を起こしやすくなります。

皮膚炎

亜鉛が不足すると様々な皮膚のトラブルが起こりやすくなります。
これは亜鉛不足によって健康な皮膚を保つことができなくなることが原因とされています。

口内炎

頻繁に口内炎になる人はもしかしたら亜鉛が不足している可能性があります。
亜鉛は体内の炎症を抑える働きがあります。

亜鉛が不足すると口腔内の免疫力や、たんぱく質合成能力の低下を招き、その結果粘膜の弱化を招いて口内炎を起こしやすくなります。

脱毛症

亜鉛不足は皮膚の炎症を引き起こしますが、髪の毛や眉毛が生えている“地肌”も同じ皮膚になりますので、不健康な状態だと毛根の周囲にもトラブルが生じます。
その結果脱毛症が起こってしまいます。

ストレスで起こるとされる円形脱毛症の原因の一つとして、亜鉛不足もあるようです。

難治性の褥瘡(床ずれ)

褥瘡(床ずれ)の治癒には栄養状態が大きく関わってきます。
その中でも、亜鉛は褥瘡患者とっては重要なたんぱく合成や免疫系に関与している栄養素になります。

亜鉛が不足することで、褥瘡の治癒が非常に困難になる場合があります。

食欲低下

亜鉛は消化器…特に胃や腸といった消化管の働きに作用します。
亜鉛不足は胃腸の働きの低下を招き、食欲の低下につながります。
その結果食べる量の減少→摂取する亜鉛の減少…という悪循環を招いてしまいます。

亜鉛が不足すると、胃や腸など消化管の働きが悪くなり、食欲が低下します。
食べる量が減るために亜鉛がさらに足りなくなり、悪循環を招いてしまいます。

下痢

亜鉛不足で消化管の働きが悪くなり、腸の粘膜の免疫機能が低下することがあります。
その結果、下痢を起こしやすくなります。

発育障害

亜鉛は、成長ホルモンや性ホルモンといった発育に関するホルモンの生成や働きに大きく関わっています。
小児の段階で亜鉛不足になると、身長が伸びにくかったり(低身長)、体重の増加に障害が起こる場合があります。

性腺機能不全

亜鉛不足は男性の性腺の機能不全を引き起こします。
その結果、性欲の減退といった症状も引き起こされるため、男性不妊症の原因の一つともされています。

易感染性

亜鉛不足は体内の免疫機能を低下する可能性が高くなります。
免疫力が低下することでウイルスや細菌感染しやすくなるだけでなく、感染に対する抵抗力も弱くなります。

骨粗鬆症

亜鉛は骨の生成に重要な栄養素の一つになります。
亜鉛不足は骨の生成不良を招くため、骨粗鬆症になりやすくなります。

亜鉛キレート作用は薬剤によるものが多い

亜鉛不足を招く亜鉛キレート作用ですが、これは薬によって引き起こされるケースが多いようです。
亜鉛キレート作用を起こす薬は慢性疾患に使用するものが多いとされ、その種類は何百種類もあります。

高齢者の味覚障害の原因の一つ?

高齢者の多くはさまざまな慢性疾患を抱えています。
そうすると服用する薬の種類が多くなりがちなため、薬剤による味覚障害の可能性も高くなります。

ただでさえ高齢者は抵抗力、免疫力の低下を招いてる場合が多いです。
そのなかで亜鉛キレート作用を引き起こし、亜鉛不足によるさらなる免疫力の低下や食欲不振などを引き起こすことは、健康的な生活を維持するための大きなリスクとなり得ます。

まとめ

今回は、亜鉛キレート作用と亜鉛不足について解説しました。
亜鉛を意識して摂取する…ってこと、あまりないかもしれません。
とはいっても、亜鉛不足による健康への悪影響は多岐にわたります。

どんなものに亜鉛が含まれているのかもチェックし、サプリメントなどでも上手に補っていく必要があるかもしれません。

生活を支援するセラピストとしては、こういった栄養についても知っておかないといけないだろうね!
解剖学や運動学、生理学だけではなく、栄養学や内科学にまで網羅しておく必要があるでしょうね。

もしこの記事に修正点やご意見がございましたら、お手数ですがお問い合わせまでご連絡ください。 皆様の貴重なフィードバックをお待ちしております。
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