ASIA分類 – 脊髄損傷の残存機能の評価方法と注意点

ASIA分類 - 脊髄損傷の残存機能の評価方法と注意点 検査

脊髄損傷のクライアントの感覚機能や運動機能がどのレベルまで維持されているのかを判断する方法としてASIA分類があります。
今回はこのASIA分類についてその方法や注意点も含め解説します。


ASIA分類とは?

ASIA分類とは、“アメリカ脊髄損傷協会(The American Spinal Injury Association)”の略であると同時に、評価尺度の略語としても意味しています。
ASIAは脊髄損傷のクライアントの感覚機能や運動機能が、どの脊髄レベルまで維持されているかを把握するために行う評価法であり、現在脊髄損傷の神経学的および機能的分類のための国際基準にもなっています。

ASIAの方法

ASIAでは、完全麻痺から正常レベルの5段階で評価します。
運動障害の標的となる筋を10、感覚障害(触覚・痛覚)の標的となる感覚部位を28文節に分け、その運動機能、感覚機能の欠如する部位に該当する脊髄レベルを判定することで、傷害レベルを決定していきます。

   
A 完全 仙髄節(S4~S5)の運動・知覚ともに完全麻痺
B 不全 S4~S5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存
C 不全 神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満
D 不全 神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており,主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上
E 正常 運動・知覚ともに正常

脊髄損傷の評価の注意点

ここでは脊髄損傷のクライアントを評価する際の注意点についてですが今回は…

  • MMTの結果だけに捉われないこと
  • ASIA分類を決定することが目的ではない

…の2点について解説します。

MMTの結果だけに捉われないこと

MMTはクライアントの筋力を評価する手段としてはメジャーな方法ですが、その方法はクライアントの姿勢や体調、評価者の技術や経験によってばらつきがでてきます(現にMMTはグレードB、エビデンスレベル3となっています)。
その点を考慮したうえで、MMTの結果のみに捉われず、クライアントの全体像を把握する必要があります。

ASIA分類を決定することが目的ではない

クライアントの残像機能からASIA分類を決定する…のみならず、そこからどのような介入、支援をすることで生活の質が向上するのかを作業療法士は考えなければなりません。
ASIA分類を決定することが目的ではなく、その評価をどう生かしていくかが重要なので、手段と目的を混合しないように注意することが必要と言えます。

患者さんの残存機能をしっかり把握し、関わる機関内で共通言語化するということは、より質の高い支援のためにも必要なことと言えるね!
そのためにはASIA分類のように国際的にも基準化されているような方法を使用することが重要なんですね!

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