音楽療法をはじめ、作業療法の場面においても“音楽”の利用の仕方によってはクライアントの健康的な生活を送ることに役立つことが多くの研究でわかっています。
そこで今回は「音楽が持つ医療的・健康的な5つの効果」について解説します。
音楽がもたらす健康への5つの効果について
結論から言えば、音楽がもたらす健康への5つの効果は…
- ストレスや不安の軽減
- 痛みの軽減
- 免疫力向上
- 記憶力の向上
- 運動習慣の補助
…といったものがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。
ストレスや不安の軽減
好きな音楽やゆったりとした音楽は聴く人が抱えているストレスや不安感の軽減につながります。
医療的な場面の例で言えば、分娩室でゆったりとしたテンポの音楽を流すことで妊婦のストレスや不安を和らげたり、MRIを使用する際にも音楽が薄く流されている…なんて事例もあります。
また最近の研究では、未熟児のICUに音楽療法士が関わることで対象の未熟児の機能向上につながる…という結果が出ているようです。
痛みの軽減
音楽によって痛みが軽減する…つまり“鎮静効果”についても、医療現場で広く認め始められているようです。
大きな手術を受ける患者がその前日の夜~手術後2日まで自分で選んだ音楽を聴くように指示される…という事例もあります。
これを比較検討した実験があるようですが、結果としては音楽を聴いていたグループがそうでないグループよりも痛みが少なかったようです。
決してプラシーボ効果ではないということも別の先行研究で明らかにされていますので、痛みの軽減を目的とした音楽の導入は今後もっと広がっていくかもしれませんね!
免疫力向上
音楽によって免疫機能が向上し、病気にかかりにくくなる…という研究結果がアメリカのウィルクス大学の研究によって明らかにされています。
これがもっと高いレベルのエビデンスを持ち、より臨床的になると、安価で副作用のない「薬」のような扱いがされるようになるかも…。
記憶力の向上
音楽は記憶力の向上に関与するということが多くの研究でわかってきています。
認知症はもちろん、脳卒中クライアントの記憶の想起の一助に、音楽がなることもわかっています。
また、言語記憶においても一定の回復効果が期待される…との報告もあるようです。
運動習慣の補助
ジョギングやジムでトレーニングを行う際、アップテンポな音楽を聴きながら行うことで疲労感が減少する…という研究があるようです。
またその他にも、モチベーションを向上させる、作業効率をアップさせる、リズミカルな動きを促通する…といった効果も期待できるようです!
クライアントの自主トレの習慣化のために音楽を取り入れるというのも、作業療法場面では必要でしょうね。
まとめ
今回は、音楽の医療的・健康的な5つの効果について解説しました。
様々な先行研究をみると、音楽=娯楽として聴く…だけでは非常にもったいない印象を受けます。
もっと医療や健康、福祉分野に音楽を利用することで、より高い効果を期待できるかもしれませんね!