革細工(レザークラフト)で使用される一般的な素材って基本は牛革かなと思います。
でも実は世界にはもっとマニアックな動物の革が使用されているようです。
そこで今回は、エキゾチックレザーと言われる革について解説します。
…マニアックな内容です(笑)
エキゾチックレザー
エキゾチックレザーとは、希少性の高く独自の模様を持つ皮革の総称で、レアレザーとも呼ばれています。
その種類としては…
- 駱駝(らくだ)革
- カンガルー革
- ダチョウ革(オーストリッチレザー)
- アザラシ革(シールレザー)
- カバ革(ヒポレザー)
- ゾウ革(エレファントレザー)
- エイ革(スティングレイ)
- サメ革(シャークスキン)
- カエル革(フロッグレザー)
- 魚革
- トカゲ革(リザードレザー)
- ジャクルシー革
- ヘビ革
- ワニ革
…などがあげられます。
以下に詳しく解説します。
駱駝(らくだ)革
ラクダの革は、一頭から採取できる革の量が大変少ないため非常に希少でヨーロッパでは高級革として扱われています。
ラクダは砂漠地方に生息しているため、日中は酷暑、夜間は極寒という過酷な環境から身を守るために革の組織が詰まっているという特徴をもちます。
そのため、弾力性がありしなやかでやわらかいのに耐久性に優れていて丈夫な革になります。
牛革と比べて約2倍以上の耐久性をもつといわれています。
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カンガルー革
カンガルー革の外見は牛革とかなり似ています。
中でも高級皮革とされるカーフスキンと似ていますが、基本的にカンガルーの革は銀面(革の表面)にシワが多いため、見た目は悪いものが多いようです。
しかし非常に強靭で単位あたりの引き裂き強度は通常の牛革より2倍近く強い革になります。
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ダチョウ革(オーストリッチレザー)
「オーストリッチレザー」とよばれているこの革は、鳥類で唯一量産できる革素材になります。
羽を抜いた後が丸く突起し、皮の表面に面白い模様が特徴とも言えます。
高級素材のバッグや靴、財布といった小物に使われることが多いようです。
ただし野生のものは減少傾向にあります。
南アフリカなどでは積極的なオーストリッチの飼育が行われ、皮革としての計画的な生産と管理がなされているようです。
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アザラシ革(シールレザー)
アザラシやオットセイといった海獣(海に住む哺乳類)の革は“シール”と呼ばれています。
厚みがあって丈夫であり、頭から尾に向けて独特な波状のウネ模様が特徴です。
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カバ革(ヒポレザー)
カバ革は、「ヒポレザー」とも呼ばれています
表面の層を取り除く為、起毛だったスエードやヌバックのような質感が特徴です。
強度もゾウ革同様に…
- 耐久性に優れている
- 水にも比較的強い
- ナイフで刻んだようなシャープで深い溝
…などが特徴の革になります。
ある程度水をはじき、摩耗にも強い特徴からブーツや財布などに使用されています。
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ゾウ革(エレファントレザー)
エレファントレザーとも呼ばれているこの革は、独特のシワ模様とビーズ状の表面が特徴です。
摩擦に強く耐久性に優れており、使うほどに味わいが深まります
しかし、このゾウ革はウ革は輸出入の規制が厳しくチェックされています。
現在では、アジアゾウはワシントン条約の規制により、商業取引はできなくなっています。
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エイ革(スティングレイ)
エイ革は人間の歯と同じリン酸カルシウムで出来ており、非常に硬く光沢感があります。
“海の宝石箱”や“革の宝石”とも形容され、ガラスビーズを敷き詰めたような美しさがあります。
この美しさは、合皮で再現するのは不可能だと言われています。
特徴的なのは、スターと呼ばれる中心部の白い斑点です。
これはエイが光を感知する器官になります。
一匹につき一つしか取れない模様で、エイ革の象徴となっています。
またエイ革は牛革の6倍耐久性があるといわれています。
普段使いで傷つくことはないようです。
加えて、防汚性・耐水性も抜群でありメンテナンスフリーというのも特徴といえます。
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サメ革(シャークスキン)
サメ革は「シャークスキン」とも呼ばれています。
370種を超えるサメの中でも、革として使用されるのは…
- ヨシキリザメ
- ホオジロザメ
- イタチザメ
…を代表にしたわずか20種のみです。
理由としては、サメは穫れる量が少ないこと、養殖するのが難しいことがあげられます。
また加工するのに一般的な皮革とは異なる技術が必要になることから、希少性が高くなり価格が高騰してしまいます。
特徴ですが水に強く、高い強度があげられます。
また、使うほどに柔らかさと艶が増すという点も特徴です。
シャークスキンは筋繊維が密なため、しなやかで丈夫な性質を持ち、傷がつきにくいようです。
そのため頻繁に出し入れする財布やバッグ、ベルトなどに使用されます。
また、ロレックスなどの有名海外時計ブランドの革バンドにも使用されるようです!
ま、よく知られているのは高級すし店にある「わさびのおろし金」かもしれませんね(笑)
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カエル革(フロッグレザー)
参考:I・N FACTORY
カエル革(フロッグレザー)は、主に熱帯地域の東南アジア方面、タイ、インドネシアや、メキシコ地方の20~30センチ程度の大きさの蛙の革になります。
欧州ヨーロッパや、東南アジアの方では、小物や、カバン、靴などのファッションに多く取り入れられています。
開運グッズとしても人気があるようですが…日本ではあまり馴染みのない革かもしれません。
魚革
参考:MEN’S EX
実は魚の皮を使用した革細工も少ないながらあるようです。
実際アイヌではイトウの革を使用した民族衣装があります。
また、海外ではティラピアなどの廃棄される皮を加工して革細工を行う事業もあるようです。
マグロやブラックバスやウツボの革を使用して革細工を行う事例もあるようですが、加工が非常に難しいようです。
トカゲ革(リザードレザー)
「リザードレザー」と呼ばれるこのトカゲの革は、美しく整然と並んでいる丸くて粒上の細かいうろこが特徴です。
光沢感溢れる仕上がりで、トカゲ模様が強いのでキズになりにくい革になります。
世界中には4000種近くのトカゲが生息しておりますが、皮革製品に利用されているものは極めて少なく、わずか9種類ほどのようです。
ジャクルシー革
参考:レザーマニア東京
ジャクルシーとは南米ブラジル、ガイアナが主な生息地であるカイマントカゲというトカゲの一種です。
頭部から背部にかけて、特徴のある楕円形の背鱗板が、ワニの背部の様に並んでいるのが特徴です。
そのため、カイマントカゲ(ワニトカゲ)などとも呼ばれています。
生態に関して分からない事が多く、飼育が困難なこともあり、貴重な存在として扱われているようです
また、ワシントン条約の制定以来ほとんど流通することがなくなってしまった素材です。
ヘビ革
ヘビ革は大きな類のパイソンと小さな類のスネークにわけられます。
革として人気なのはパイソン革で、個性的で存在感のあるはんもんやうろこ模様が特徴です。
背部を活かしたベリーカット、反対に腹部を利用するバックカットのタイプがあります。
ワニ革
爬虫類皮革の代表的なものがワニ革といえます。
他の皮革にはない独特のうろこが特徴です。
実際に革として利用されるワニは、クロコダイル・アリゲーター・カイマンの3種類のみになります。
イノシシ革
農作物を荒らす害獣として問題になっているイノシシですが、この駆除対象としてのイノシシの皮を再利用する取組みが増えてきています。
イノシシの革は、豚の革同様に摩擦に強く、軽量で耐久性もあり、そこに柔らかさと通気性にも優れた材質を持ち合わせています。
まとめ
今回は、革細工(レザークラフト)に使用するちょっと珍しい革素材の種類について解説しました。
レザークラフトでこれらの素材を利用する…ってことは少ないかもしれませんが、革細工のポテンシャルの高さを考えさせられますね。