リハビリとして大人の塗り絵を行う。
脳トレとして大人の塗り絵を試してみる。
…作業療法や介護現場では、この大人の塗り絵を積極的に使うことが多くなってきました。
でも…
- きちんと塗らなきゃならないのか?
- 現実にはありえない色で塗ったけど、問題はないのか?
- きれいに塗れなくて失敗してしまった
…なんて疑問もでてくるようです。
そこで今回は、大人の塗り絵を行う際の注意点や疑問について解説します。
大人の塗り絵に対しての疑問
ここでは大人の塗り絵を行う際のいくつかの疑問について解説します。
今回は…
- 1回の時間はどのくらいか?
- きれいに完璧に仕上げるべきか?
- 忠実に再現するべきか?
- 普通の塗り絵でも効果はあるのか?
…について深堀りしていきます。
1回の時間はどのくらいか?
結論から言えば、「負担が少ない時間内」で行うことが重要になります。
でもリハビリや介護の現場で使うには、ある程度明確な時間の目安が必要かもしれません。
参考にする研究の一つは、学術誌「Art Therapy」に掲載された西イングランド大学の研究チームによる論文。
ここでは…
被験者に20分間に読書か塗り絵を行ってもらう実験結果で、不安感の軽減効果がみられた
…とあります。
参考:「塗り絵」に精神安定作用、英国の研究チームが証明
もう一つの研究は、2020年に「Academic Emergency Medicine」に掲載されたSydney Medical SchoolのRajendranらによる救急医療の論文。
ここでは…
中等度以上の不安を抱えた救急患者に2時間の塗り絵を行ったところ、不安を有意に緩和する効果がみられた
この2つの研究結果からみても、特に塗り絵を行う時間で明確な決まりはないようです。
ただ、あまりにも長い時間行うと肩や首に負担がかかってしまう恐れはあります。
「自律神経は整ったけど、首がガヂガヂ…」なんて状態になってしまいます。
もちろん人によってその時間もまちまちでしょうが、「負担が少ない時間内」で行うことが重要です。
きれいに完璧に仕上げるべきか?
大人の塗り絵はその細かさから、どうしても細部にこだわってしまいがちです。
結果、少しのミスも許せなくなってしまいます。
少し枠からはみ出した程度も「味」と考え、リラックスした状態で行うことが必要です。
忠実に再現するべきか?
大人の塗り絵には基本見本がないものが多いです。
その理由としては、自由に思った通りに色を塗ることで、脳の活性化を促す…ということになります。
見本の通りに再現したり、「リンゴは赤い!」とステレオタイプ的に大人の塗り絵を行ってしまうと、せっかくの脳トレ効果も少なくなってしまいます。
自由な表現を楽しむような方法がお勧めと言えます。
ふつうの塗り絵でも効果はある?
特に「大人の塗り絵」という枠組みのものでなくても問題ないようです。
もちろんその絵がより細かいものであればあるほど、求められる集中力も高くなります。
結果、脳の活性化を促せますし、上手に完成したときの満足度も高いものになると思います。
でも対象が健常な人ならまだしも、障害を持った方や高齢者のリハビリとして扱うなら完成するまでが難しくなってしまうかもしれません。
「成功体験」を重ねる意味でも簡単な普通の塗り絵から導入する工夫も必要かもしれません。
まとめ
本記事では、大人の塗り絵に関する4つの疑問について解説しました。
脳にも心理的にも様々なメリットがある大人の塗り絵ですが、あまり型にはめて行うとせっかくの効果が台無しになってしまうようです。