表在反射は皮膚や粘膜を針、綿などで刺激して起こる反射ですが、クライアントの評価としてしっかり検査することで、
より細かい障害や状態変化の情報収集にすることができます。
そこで今回は『表在反射の検査方法とその注意点』について解説します。
表在反射の種類について
表在反射は臨床では大きく分けると以下の2つに分けられます。
- 粘膜反射
- 皮膚反射
いかにそれぞれ解説します。
粘膜反射
粘膜反射でも代表的なものとしては次の3つがあげられます。
- 角膜反射(Corneal Reflex)
- くしゃみ反射(Nasal Reflex)
- 咽頭反射(Pharyngeal Reflex)
角膜反射(Corneal Reflex)
脱脂綿の小片で角膜を軽く刺激すると眼がただちに閉じる反射です。
この反射が消失している状態は、求心路である三叉神経障害の場合が多いとされています。
くしゃみ反射(Nasal Reflex)
鼻粘膜をこよりなどで刺激するとくしゃみが起こります。
この反射も三叉神経障害で消失します。
咽頭反射(Pharyngeal Reflex)
催吐反射(Gag Reflex)とも呼ばれています。
咽頭後壁の粘膜を舌圧子などで刺激すると,吐きけを起こす反射です。
皮膚反射
皮膚反射の代表的なものとしては次の4つがあげられます。
- 腹壁反射(Abdominal Reflex)
- 挙睾筋反射(Cremasteric Reflex)
- 臀部反射(Gluteal Reflex)
- 足底反射(Plantar Reflex)
腹壁反射(Abdominal Reflex)
腹皮反射(Abdominal Skin Reflex)とも呼ばれます。
検査する際の姿勢についてですが、被験者を仰臥位として両下肢を膝関節部で軽く屈曲させ,腹壁を軽く弛緩させた姿勢で行います。
検査方法ですが、腹壁を上・中・下に分けて先の鈍い針(もしくは小歯車、打鍵器の柄、マッチ棒、鍵、名刺の角etc)などで刺激を与えます。
健常者では、刺激を与えた際に腹壁筋の収縮によって隣or白線が刺激された側に迅速に動きます。
ちなみに反射を誘発するためには、刺激を与える距離をより長く、早く、強くするとよいようです。
加えて、被験者に深呼吸をさせ、吸気の終わりに行うとより反射が誘発されることもわかっています。
この腹壁反射の検査意義ですが、反射の消失の有無を確認することにあります。
腹壁反射は腹壁を上・中・下で分けて検査しますが、
- 上腹部:第6~9胸髄
- 中腹部:第9~11胸髄
- 下腹部:第11胸髄~第1腰髄
…と、各部位の腹壁反射の有無で、どの部位に障害があるかを検査することが可能となります。
というのも、胸髄レベルの障害は、四肢の筋力や神経による情報が少ないことから、腹壁反射は臨床上非常に貴重な情報源となるからです。
注意点としては、片側の腹壁反射が消失している場合は病的意義がありますが、肥満や経産婦、高齢者などでも腹壁反射の消失がみられる場合があるので
両側消失している場合は病的意義としては乏しいと判断されます。
挙睾筋反射(Cremasteric Reflex)
挙睾筋反射の検査方法ですが、大腿の内側面に沿って上から下にピンなどで軽くこする方法を取ります。
その際、刺激を与えた側と同側の挙準筋の収縮により,睾丸が挙上します。
臀部反射(Gluteal Reflex)
方法としては、一側の臀部をピンでこする方法を取ります。
その際の反応としては同側の臀部の収縮をみます。
足底反射(Plantar Reflex)
足底反射の方法ですが、足の裏を針や安全ピン,ハンマーの柄,鍵などでかかとから前方へこする方法をとります。
その際、正常の場合は、母趾の足底への屈曲運動が起こります(plantar flexion)。
ちなみに足側の内縁をこする方が正常な足底反射がでやすく、足底の外縁への刺激で母趾の背屈が起これば病的反射であるバビンスキー反射陽性とします。
肛門反射(Anal Reflex)
肛門反射の検査方法ですが、肛門周辺や会陰部を針でこする方法や直腸内に指を挿入する方法とがあります。
その際、肛門括約筋が反射的に収縮します。
会陰部の感覚消失,または脊髄円錐部または馬尾神経障害の際にこの肛門反射の減弱or消失が確認されます。
まとめ
今回は、表在反射の検査方法とその注意点について解説しました。
表在検査も身体障害領域の作業療法士にとって非常に有用な検査方法と言えます。
クライアントの障害や状態の変化をより細かく把握するためにも、しっかりと臨床や現場で検査できるようにしないといけませんね!