一般知能”g因子”とは? – 特徴と反論について

用語

「g因子」は、多様な認知タスクでのパフォーマンスに影響する知能の全体的な能力を示す概念ですが、これを完全に理解するためには、さらに多くの要素が必要です。
本記事では一般知能g因子について解説します。

一般知能g因子とは?

一般知能の「g因子」は、心理学における概念で、人間の知能の全体的な能力を表すものです。
この理論は、1904年に英国の心理学者チャールズ・スピアマンによって提案されました。
スピアマンは、様々な知的課題において、人々の成績がしばしば相関することに気付きました。

彼はこれを「一般知能」と呼び、「g因子」という用語を用いました。

またg因子は、知能検査(IQテスト)において、個々のテスト成績の平均的なレベルを反映するものとしてしばしば用いられます。
レーブン色彩マトリックス検査(RCPM)などのIQテストのスコアは、多くの場合、「g因子」を測定するための指標として使用されます。

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g因子の特徴

ここではg因子の特徴として…

  • g因子は灰白質体積との関連を通じて、一般的な認知能力を示している
  • g因子は全体的な認知能力の基礎を形成していると考えられる
  • g因子の性質は神経可塑性と関連している

…について解説します。

g因子は灰白質体積との関連を通じて、一般的な認知能力を示している

g因子は、様々な認知テストの得点がしばしば正の相関を示すという観察から導き出されたもので、これらのスキルの根底にある一般的な認知能力を示唆しています。
脳画像研究では、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉など、脳のさまざまな領域の灰白質体積と g因子が関連づけられ、一般的な知能は特定の領域に限局しているのではなく、脳内の分散した領域に関連していることが示されています1)

g因子は全体的な認知能力の基礎を形成していると考えられる

g因子の一般性は、ある精神能力検査で同定された因子が、別の異種の能力検査で同定された因子と密接に関連していることを示す研究によってさらに裏付けられています。
この異なる認知テスト間の一貫性は、より高次のg因子の存在を示す証拠となり、その測定が特定の知的能力タスクに依存しないことを示唆しています2)

g因子の性質は神経可塑性と関連している

g因子の性質は、神経可塑性というレンズを通して検討され、神経接続を環境に適応させる能力の個人差によって、ある知的能力が発達した人が他の能力も高度に発達している傾向がある理由を説明できる可能性が示唆されています。
この視点は、一般知能が様々な認知タスクと相関しており、脳機能全体に影響を与えるより一般的なフィットネス因子を示しているという観察と一致しています3)

g因子の反論

認知能力の唯一の予測因子としてのg因子の有効性には反論があります。
2002年のBowmanらの研究では、g因子の上に、知的行動をサポートする認知的・非認知的な因子が存在することが示唆されています。
ここでは、感情的知能、暗黙知、メタ認知などの構成要素は、一般知能の伝統的モデルを超えて拡張することが提案されています4)

g因子とs因子

「g因子」は、個人が持つ複数の特定の能力(例えば数学的能力、言語理解力、記憶力など)の背後にある、より基本的な知的能力を指します。
これに対して、特定の能力や技能に特化した知能は「s因子」と呼ばれます。
例えば、数学の才能や音楽の才能などが「s因子」に該当します。

「g因子」とは、人が様々なタイプの問題を解く際の能力を表すもので、これは脳のいろいろな部分が関連しているってことだね!
ただし、知能には「g因子」だけでなく、感情や経験など他の要素も大切で、研究者たちはこれらも考えて知能を理解しようとしているんですね!

参考

関連文献

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