ルーティン・タスク・インベントリー(RTI-E)- 対象・検査目的・評価項目について

検査

“ルーティン・タスク・インベントリー(RTI-E)”とは日常生活動作の遂行評価方法の一つです。
本記事では、評価目的、対象、そして課題項目などについて解説します。


ルーティン・タスク・インベントリーとは?

ルーティン・タスク・インベントリー(RTI:Routine Task Inventory-Expanded)は、日常生活動作(Activities of Daily Living, ADL)に関連するさまざまなタスクや行動を評価するためのツールです。

これは、個人が日常生活でどの程度の自立性を持っているかを評価するために使用されます。
例えば、入浴、食事、着替え、移動などのタスクが含まれます。

各タスクには、さまざまなレベルの行動が記述されており、評価者は個人の実際の行動に基づいて適切なレベルを選択します。
ルーティン・タスク・インベントリーは、個人の機能レベルを評価し、介護やリハビリテーションの計画に役立つ情報を提供するために使用されます。

開発者について

ルーティン・タスク・インベントリーおよびその拡張バージョンであるルーティン・タスク・インベントリー拡張版(RTI-E)は、アメリカの作業療法士であるクラウディア・アレン(Claudia Allen)によって開発されました。
彼女は1985年に初版のルーチン課題インベントリーを導入し、その後1989年にRTI-Eを開発しました。

このツールは、認知能力の評価を行うために設計され、日常生活活動や手段活動を含むさまざまな側面を対象としています。

対象

ルーティン・タスク・インベントリーの対象は特に具体的な疾患で指定はされていません。
一般的には身体的な制約や認知的な障害を持つ人々の日常生活動作の評価に使用されます。

目的

ルーティン・タスク・インベントリーの目的は、個人の能力やスキルを評価し、日常的なタスクや活動における課題や困難さを特定することです。
これにより、個人の強みや改善の必要性を把握し、適切なサポートやトレーニングを提供することができます。

わかること

では、ルーティン・タスク・インベントリーを行うことが対象者の何がわかるのでしょうか?
ここでは…

  • ペース/スケジュールの維持に関する課題
  • 指示に従う能力に関する課題
  • コミュニケーション能力に関する課題
  • 読解力に関する課題

…について解説します。

ペース/スケジュールの維持に関する課題

ペースを変えることができない、スケジュールに柔軟に従わないなど、タスクの優先順位を決める際にアシストが必要な場合があることがわかります。

指示に従う能力に関する課題

指示に一歩ずつ従うことができない、変更に抵抗する、他人が立てたスケジュールを要求するなど、指示に従う際に支援が必要な場合があることがわかります。

コミュニケーション能力に関する課題

コミュニケーションの応答が遅い、情報の量が少なすぎるか多すぎる、適切な修正や合図に反応しないなど、コミュニケーションにおいて支援が必要な場合があることがわかります。

読解力に関する課題

視覚的刺激に対する反応が遅い、新しい単語の理解が難しいなど、読解力に支援が必要な場合があることがわかります。

ルーティン・タスク・インベントリーを通じて、個人のルーティン・タスクにおける課題や支援が必要な領域を特定することができます。
これにより、適切な支援を提供することができます。

評価項目

では、ルーティン・タスク・インベントリーの評価項目は以下のようなものがあげられます。

  • フィジカル・スケール:身の回りのタスクに関する評価項目
  • コミュニティ・スケール・イアド:コミュニティでの生活に関する評価項目
  • グルーミング:身だしなみに関する評価項目
  • ハウスキーピング:家事に関する評価項目
  • ドレッシング:服装に関する評価項目
  • 食品の準備/入手:食事の準備や買い物に関する評価項目
  • 入浴:入浴に関する評価項目
  • お小遣い:お金の管理に関する評価項目
  • ウォーキング/エクササイズ:運動に関する評価項目
  • 洗濯:洗濯に関する評価項目
  • フィーディング:食事の摂取に関する評価項目
  • 旅行:外出や旅行に関する評価項目
  • トイレ:トイレの使用に関する評価項目
  • ショッピング:買い物に関する評価項目
  • 薬の服用:薬の服用に関する評価項目
  • テレフォン:電話の使用に関する評価項目
  • アダプティブ機器の使用:補助具の使用に関する評価項目
  • チャイルドケア:子供の世話に関する評価項目
  • コミュニケーション・スケール:コミュニケーション能力に関する評価項目
  • ワーク・レディネス・スケール:仕事に関する能力に関する評価項目

方法

ルーティン・タスク・インベントリーの具体的な評価方法としては、公式マニュアルを参考にする必要があります。
各レベルの行動を読み、自分のパフォーマンスに当てはまる行動を選択します。

適切な行動が複数ある場合は、両方にチェックを入れることもできます。

また、各スケールのページには、パフォーマンスを評価するための具体的な行動の例が記載されています。
これらの例を参考にしながら、自分の日常生活の中でどのような行動を行っているかを考えることも重要です。

評価用紙

ルーティン・タスク・インベントリーの評価用紙は公式サイトより無料でダウンロードできます(英語版)1)

開発に作業療法士が主で関わっている点が他のADL評価とは異なる点かもしれないね!
より分析的な視点で評価できるツールともいえるでしょうね!

参考

1)Allen Cognitive Network

関連文献

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