作業療法士は生活を支援するセラピストです。
この生活を支援するということには、決して介入時のみの単発的な改善ではないことは周知の事実です。
その動作や行動が習慣化し、その状態を「続ける事」が重要になってきます。
今回はこの「続ける力」…『継続力』について解説します。
継続力とは?
そもそも”継続力”とはどのようなものでしょうか?
とは言っても、“物事を続けること=継続”の力という理解で間違いはないのでしょうけど(苦笑)。
一応調べてみると…
一般的に、継続する力、物事を続けるために必要とされる能力や資質といった意味で用いられる表現。根性や辛抱、無理をしないこと、少しずつ始めることなど、文脈により対象となる資質は異なる。
引用:weblio
…のような説明があります。
なぜ作業療法士は“継続力”が重要なの?
ではなぜ、セラピストにとってこの“継続力”が重要なのでしょうか?
ここでは…
- 継続力と「意欲」は密接という理由から
- 継続力は「行動変容」につながるから
- 継続力を知ることは「習慣化」につながるから
…の3つから考えてみます。
継続力と「意欲」は密接という理由から
何か物事を始めるためには、まずスタートをきるための「意欲」が必要になります。
そうすると次にはその行動を「続けるため」の「意欲」が必要になってきます。
この物事を「続けること=継続すること」には常に「意欲」を持ち続けなければなりません。
作業療法士が扱う領域である高次脳機能障害や精神、心理領域では、特にこの「意欲」が非常に重要なテーマになってきます。
単発的にクライアントの「意欲」を向上させることができても、それが続かないと意味がありません。
高い「意欲」を維持し続けるのに、この「継続力」が必要となってきます。
継続力は「行動変容」につながるから
何か物事を始め、継続していくように促すことは「行動変容」に繋がっていきます。
それがクライアントの自主訓練でも、食事制限でも、今までとは異なる「行動」を促し、続けるためにはやはり「継続力」というもののメカニズムを知っておく必要があります。
クライアントの生活支援を行う作業療法士にとっては、非常に必要な概念と言えます。
継続力を知ることは「習慣化」につながるから
前述した「行動変容」から、いかにクライアントが意識せずに“習慣的”に行動にするか…つまり「習慣化」のプロセスまで支援することも作業療法士にとって必要になってきます。
実はこれ、病院などの医療機関で勤務するセラピストには特に必要なことと考えています。
病院に入院しているという特殊な環境、状況下で、いくら行動を変え、習慣化につなげたとしたとしても、
在宅に戻って環境が変わり、作業療法士や病棟スタッフがいない状況では結局もとに戻ってしまう…なんてこと多いように感じます。
いかに入院中に変化させたクライアントの習慣を、在宅に戻ってからも継続させるか…。
病院から外に出た後の生活まで考えたうえで、作業療法としての介入を行わなければなりません。
そのためにはあらゆる行動の「継続力」という考え方が必要になってきます。
まとめ
作業療法士の課題の一つで、いかにそのクライアントの行動を変えていくかというものがあります。
作業療法の介入を行うのは、その場面が病院でも施設でも、訪問といった地域でも、そのクライアントにとっては24時間のうちの「一部」にしかなりません。
この「一部」の介入時間でいかにクライアントの行動や習慣を継続的に変化させるか?が重要な要素になってきます。
そのためにはこの「継続力」という考え方が必要になってきますし、これを意識した作業療法の展開を行っていかなければなりません!