両立支援コーディネーターの資格を作業療法士が取得するメリットについて【実際に取得してわかったんです…】

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コロナの影響もあり、今後はますます働き方を考える必要がある人が増えてきています。

ましてや病気になって治療をしながら仕事を続けたいけど、どうしたらよいのかわからない
…と八方ふさがりになってしまう方も多くなっているようです。

今回ご紹介する「両立支援コーディネーター」という資格は、就労支援に関わる資格の一つになります。
そこで今回は、この両立支援コーディネーターについて、そして作業療法士が取得することのメリットについてまとめてみました。

本記事が、「作業療法士だけど就労支援の方法がわからない」、「どのように職場復帰に向けたリハビリをしたらいいのかわからない」…と悩んでいる支援者の一助になれれば幸いです。

両立支援コーディネーターとは?

両立支援コーディネーターとは、働きながら治療を続けるための支援をすることを目的としています。
対象とする疾病ですが…

  • がん
  • 糖尿病
  • 脳卒中
  • メンタルヘルス

…の4つに分類されています。
取得するには『独立行政法人 労働者健康安全機構』で実施される基礎研修を受講する必要があります。

両立支援コーディネーターが必要な理由について

ではなぜ今後、この両立支援コーディネーターが必要になってくるのか、その理由についてです。
主に次のような理由があげられます。

  • 資源の複雑さから本人・家族のみでの対処が困難
  • 「労働者(患者)」「事業場」「医療」の3者間の情報共有のための共通言語が少ない

以下に解説します。

資源の複雑さから本人・家族のみでの対処が困難

ここでいう「資源」とは、“医療”や“社会福祉資源”を指します。
病気の治療を行いながら仕事を続けるにしても、これらの資源は利用するにも複雑な場合が多くあります。

こうなると当事者である患者やその家族だけでは対処しきれなくなってきてしまいます。
そして利用できる資源の見落としや優先順位などがずれていってしまい、資源の有効活用ができなくなってしまう場合があります。

そのために両立支援コーディネーターが適切な支援の情報を提供し、当事者であるクライアントの負担を軽くする必要があります。

「労働者(患者)」「事業場」「医療」の3者間の情報共有のための共通言語が少ない

患者の治療と職業生活の両立を達成するためには

  • 労働者(患者)
  • 医療機関
  • 事業場(企業)

…の3者間の情報共有が必要になってきます。
しかし、それぞれ分野や領域が異なってくるため情報共有するにも“共通言語”出ない場合が多くあります。

それぞれの情報共有をスムーズにするための“通訳者”という意味でも、両立支援コーディネーターの役割が必要になってきます。

この「労働者(患者)」「事業場」「医療」の3者間の情報共有について詳しく解説を知りたい場合はこちらの記事を参考にしてみてください。

両立支援コーディネーターに必要なもの

患者-医療-企業という3つの領域の中心にいる形になる両立支援コーディネーターですが、必要なスキルやマインドというものはどういったものになるのでしょうか?

これについては、本記事の目的とはややずれてしまうので、こちらの記事にまとめています。

作業療法士が両立支援コーディネーターを取得するメリットについて

ではリハビリセラピストである作業療法士が両立支援コーディネーターを取得することはどのようなメリットが発生するのでしょうか?
個人的な意見になりますが、主に次のようなものがあげられます。

  • 就労支援のための基礎的な知識が広がった
  • 就労支援のための、考え方や取り組み方が変わった
  • 就労支援を行うための自信が少しついた(笑)

以下に解説します。

就労支援のための基礎的な知識が広がった

作業療法士としてリハビリを行うにも、自身の場合身体障害領域(脳卒中)がメインですので、上肢機能やADL、APDL能力拡大のための支援などが主なものでした。
その他といっても、認知症や高次脳機能障害への支援、在宅生活のための手すりの設置のアドバイスや、利用するサービスの選定へのアドバイス。
振り返ってみると、一般的な作業療法士の業務でしたね。

でも就労支援となると、クライアントの仕事内容によっても様々です。

会社員だとしてもデスクワークなのか営業の外回りなのか。
IT関係なのか、工場勤務なのか。

仕事の種類によって必要な項目が全然変わってきます。
こうなると一般的な作業療法士の知識だけでは足りません。

でも両立支援コーディネーターの取得のために講習を受け、勉強すると…

  • 病気や障害を「仕事をする」という観点から改めてみるためのイメージできました。
  • 就労支援に関わる機関や施設についての知識が増えました。

ほんの少しでも、一般的な作業療法士の知識の枠から広がることで、就労支援につながる知識の広げ方も身に付いたと思います。
就労支援についての調べ方が広がった…というイメージに近いかもしれませんね。

就労支援のための、考え方や取り組み方が変わった

両立支援コーディネーターの資格を取得し、少しでも就労支援についての勉強をすると「就労支援へのアンテナ」の張り方が変わってきました。
そうなると普段テレビのニュースを見ていても、立ち寄った本屋に置いてある本などにも、就労支援に役立ちそうな情報が自然と目につくようになりました。

これは自分の意識が変わったことなんだなと思いました。

もちろん、就労支援にはクライアント本人だけでなく、治療を行う医療機関、雇用している事業者へも働き掛けないといけない。
3者間の間にたって、それぞれが負担なく不安なくスムーズに仕事と治療生活が両立できるように取り計らう。

…こんな発想は、両立支援コーディネーターについて勉強するまでは頭にもなかったかもしれません(苦笑)。

就労支援を行うための自信が少しついた(笑)

これは大きかったかもしれませんね。
「就労支援っていったって、なにからどう手をつけたらいいんじゃい!」って初めての時は悩んでましたから(笑)。

でも両立支援コーディネーターの資格取得のための講習を受け、意識して勉強や情報収集をしていくと、不安は0ではないにしても確実に少なくなっていきました。
就労支援のための軸のようなものが、ほんのりでもできあがった…というイメージですかね。

まとめ

本記事では、両立支援コーディネーターの資格を作業療法士が取得するメリットについて解説しました。

働きながら治療を続けるための支援を目的にしている“両立支援コーディネーター”は今後国としても力を入れて増やしていこうとしているようです。
しかし、まだこの資格を有する人数は少ないようです。

働き方が改めて考えられている今、この両立支援技術コーディネーターという役割が働きにくさを感じている“患者”の、“医療”と“企業”をつなぐ橋渡しの立場になり活躍していければ、もっと働きにくさは減少していくのかもしれませんね!

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