就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型それぞれの違いについて【似ているようで、全然違うんです】

障害を持つ人の就労を支援する事業で代表的なのは、「就労移行支援」、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の3つです。
でも言葉として知っていても…

  • 移行支援と継続支援の違いは?
  • 継続支援A型と継続支援B型の違いってなに?

…というように、その違いについては曖昧だったりします。

クライアントの生活、社会参加を支援する作業療法士としては、この支援事業の違いについてしっかりと学んでいなければいけません。
そこで今回は、この就労支援の違いについて解説します。

障がい者の就労支援について

まず前提として、なにかしらの障害を有した方にとっては、やはり就労となるとハードルが高くなってしまうのが現実です。
たとえ「働きたい!」という意欲はあっても、自分ひとりでは実現は難しくなります。

そこで障害を有する人の就労をサポートする事業である…

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援

…などのサポート必要になります。
まずはそれぞれについて簡潔に解説します。

就労移行支援とは?

まずは就労移行支援について簡単に説明します。

就労移行支援は、障害を有する人が“一般企業”への就職を前提とした就労支援になります。
将来は一般企業への就職を前提としての支援になるため、非常に社会生活、就労生活を送れるような機能を「訓練」する要素が強い支援といえます。
またある程度の身体、精神機能や残存能力が求められる点も特徴といえます。

就労継続支援とは?

就労継続支援の場合、一般企業への就職が困難とされる人を対象にした就労支援となります。

この就労継続支援には…

  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

…の2種類があります。
以下にそれぞれ簡単に解説します。

就労継続支援A型とは?

一般企業への就職が困難な人に対して、雇用契約に基づく生産活動の機会の提供、知識や能力の向上のために必要な訓練などを行うのが「就労継続支援A型」になります。
またこの支援サービスを通じて一般就労に必要な知識、能力が高まった人の場合、最終的には一般就労への移行を目指す…というのも特徴の一つと言えます。

就労継続支援B型とは?

一般企業への就職が困難な障害を有する人に対し、生産活動といった機会を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練を行う支援サービスが「就労継続支援B型」になります。
この支援サービスを通じて知識や能力が向上した人は、就労継続支援A型への移行を目指すこともできます。

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)との違いについて

では、本記事の本題。
「就労移行支援」とA型、B型を含めた「就労継続支援」との違いはどのようになるのでしょうか?

ここでは…

  • 対象者の違い
  • 利用期間の違い
  • 賃金(工賃)の違い

…の3点に絞って解説します。

対象者の違い

まず対象者の違いについてですが…

  • 就労移行支援:企業等への就労を希望する人(65歳未満)
  • 就労継続支援A型:就労移行支援を利用したor特別支援学校を卒業後企業の雇用につながらなかった人(65歳未満)
  • 就労継続支援B型:年齢や体力面で一般企業から雇用されることが困難になった人、障害者年金1級を受給している人

…となります。

65歳が一つのボーダーラインであること。
B型は比較的年齢制限が厳しくないこと…がわかります(事業所にもよるでしょうけどね)。

利用期間の違い

それぞれの支援サービスを利用できる期間の違いについてですが…

  • 就労移行支援:2年間
  • 就労継続支援A型:期間制限なし
  • 就労継続支援B型:期間制限なし

…となります。

就労移行支援の利用期限は2年間が基本です。
しかし、市町村審議会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限っては最大1年間の延長が可能になっています。

継続支援はA型もB型も特に制限は設けられていないんですね。

賃金(工賃)の違い

各支援サービスにおいての賃金(工賃)の違いについてですが…

  • 就労移行支援:賃金なし
  • 就労継続支援A型:賃金平均67,795円(雇用契約あり)
  • 就労継続支援B型:賃金平均15,033 円(雇用契約なし)

…となります。

就労移行支援はその目的が一般企業への就労であるため、「働く場」ではなく「働くための訓練をする場」という扱いになるため賃金は発生しません。
また就労継続支援でのA型、B型は雇用契約の有無によって賃金も大きく変わってきます。
*上述した平均の数字は平成27年度のデータによるものです。

まとめ

本記事では、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型それぞれの違いについて解説しました。

障害を有するクライアントの就労を支援するとなると、まずはどの支援事業につなげるか?が課題になります。
作業療法士や就労支援に関わるスタッフは、クライアントの望む“働き方”と、有する能力やリスクといったものを総合的に判断した上で支援する必要があるといえます。

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