働き方の多様化と障がい者の就労について、ICFの観点で考えてみる【あれ?メリット多いかも?】

最近はブラック企業やサービス残業問題などによって「働き方」というものに非常に関心が高くなっています。
また厚生労働省による政策としての「働き方改革」として取り組む流れをみると、今後ますます働き方は多様化していくと考えられます。
実はこの流れ、障害者が働くことにとってもメリットが多いと言われているんです。

そこで今回は、働き方の多様化は障害を持つ方にもメリットがあるかもしれない…というテーマで解説します。

職業活動の個別性とICFについて

まず前提ですが、そもそも職業活動はその地域(国)や文化背景によって大きく異なってきます。
発展途上国では水や物を運ぶのに頭の上に乗せる事、動物を使って運搬することが必要不可欠な活動ですが、日本での生活、職業生活ではほとんど必要ありませんよね。

国際障害分類(ICF)は世界的に使用されている障害を様々な分類に分けてまとめた基準です。
そのため、発展途上国でみられる仕事内容は…

  • 頭の上に乗せて運ぶ(d430)
  • 動物の力による交通手段の操作(d4752)

…と分類されています。
このように、ICFはその国、文化的背景、そして職業活動の違いや個別性についての多様化を前提として作られています。

つまり、多様化する働き方をベースとした障害者の働き方を考える際にも、ICFは非常に優秀なフレームワークとして活用できる…と考えられます。

職種や就業要件の多様性について

ということは、ICFの観点から考えても世の中の流れは働き方が多様化しそれがますます一般化していく。
これは、障害を有する人にとっても今まで以上に「働きやすい」社会になるのではないか?…と考えられます。

障害を持つ方の職業生活の大きな特徴として…「職種や働き方によって必要とされる活動内容が異なり、それによって障害の影響も大きく異なる」という事実があります。
ホワイトカラーとブルーカラーでは構成される活動内容も大きく異なりますし、勤務形態(通常勤務or在宅勤務)でも必要とされる能力には大きな違いがあります。

この多様化は選択肢の幅が広くなったと捉えることができますし、様々な制限を有する“障害者”の人にとってはより自分に合った働き方をナチュラルに選ぶことができる社会になりつつある…と考えられます。

ダイバーシティマネジメントについて

そこでその障害を有する人の働き方を支援する作業療法士にとって必要な能力の一つに「ダイバーシティマネジメント」があげられます。

この「ダイバーシティ(Diversity)」とは、「多様性」と訳されるのが一般的ですが、実は「Diversity&Inclusion」を省略したものになります。

Diversity(多様性)をInclusion(包含・組み入れ)するということで「多様性の受容」と意味されることになります。
ダイバーシティマネジメントはその違いを受け入れ、認め、さらに生かしていくことにあります。

この“違い”は社会において様々です。
性別や年齢、人種や国、宗教から価値観といったものまで非常に多岐にわたります。
もちろん障害の有無も含まれます。

この違いをネガティブなものとして捉えるのではなく、“違いを活かす”という発想で各自の個性、能力をどのように発揮していくかをマネジメントしていく…これがダイバーシティマネジメントといわれています。

詩人である“金子 みすゞ”の「みんな違ってみんないい」ってやつがまさにダイバーシティマネジメントに当てはまるといえますかね?

まとめ

本記事では、働き方の多様化と障がい者の就労について、ICFの観点から解説しました。

働くこと=企業に雇用され朝8:00~17:00までの勤務…というステレオタイプな形態に捉われず、選択肢が増えてきた現代では、その働き方における多様性が求められてきています。
でもその多様化する働き方をより有益なものにするためには、各自が持つ「強み」と「弱み」の明確化とそのマネジメントが必要です。
障害を有する人が「その人にあった働き方」を支援するためには、やはり作業療法士の知識と技術が必要になってきます。

これからの「働き方」について作業療法士が貢献できることは非常に多くなるような気がしますし、個人的には非常にポテンシャルが高い領域だと思うんですよね。

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