眼球運動とは? – 定義・関与する筋肉・種類

眼球運動は、私たちが視界を移動し、周囲の対象に注目する際に不可欠な機能です。
この機能には様々な筋、脳神経の協力により、眼球は上下左右に動き、複雑な視線を実現します。

本記事では…

  • 眼球運動の定義
  • 眼球運動に関わる6つの外眼筋
  • 眼球運動の種類

…について解説します。

眼球運動とは?

眼球運動とは、見たい対象に焦点を合わせたり、眼球の向きを変えるなどの目の動きのことです。
この眼球運動は、視対象が網膜の中心窩に結像するためや、視空間認知や体の動きと連動するためなどに必要になります。

また、眼球運動は外眼筋と呼ばれる6つの筋肉によって制御されます。

外眼筋について

眼球運動にかかわる6つの外眼筋とは…

  • 上斜筋
  • 下斜筋
  • 上直筋
  • 下直筋
  • 内直筋
  • 外直筋

…になります。
これらの筋肉は連動し伸縮することで眼球の運動に作用します。
以下にそれぞれ解説します。

上斜筋

上斜筋は、眼球を下転および外転外旋させる筋肉になります。
滑車神経に支配され、眼球が内転した状態で収縮すると、眼球を外側の斜め上に向けます。
また、眼球が67度内転した場合、上斜筋の内方回旋作用が最大となります。

下斜筋

下斜筋は動眼神経に支配されていますが、これは眼球を外側の斜め下に向けます。
眼球の下転および外転外旋に関与します。

上直筋

上直筋は、動眼神経に支配された眼球の向きを変える外眼筋の一つで、収縮すると眼球を上転させます。
眼球が内転した状態で収縮すると、眼球を内側の斜め上に向けます。

下直筋

下直筋も、動眼神経に支配されています。
収縮すると眼球を内側の斜め下に向け、眼球の下転に関与します。

内直筋

内直筋も動眼神経に支配された外眼筋の一つです。
収縮すると眼球を内側の横に向けるので、水平方向の眼球運動に重要な役割を果たします。

外直筋

外直筋は、外転神経に支配された外眼筋の一つで、収縮すると眼球を外側の横に向けるので眼球の外転に関与します。

眼球運動の種類

眼球運動の種類についてですが主に…

  • 衝動性眼球運動(サッケード)
  • 追従眼球運動(パスート)
  • 前庭動眼反射(VOR)
  • 視運動性眼振(OKN)
  • バージェンス(輻湊・開散)

…などがあります。
これらの眼球運動に関与する神経系や筋肉が障害されると、それぞれ特徴的な症状が現れます。

以下にそれぞれ解説します。

衝動性眼球運動(サッケード)

衝動性眼球運動(サッケード)とは、見ていた点から別の点へと跳躍するように素早く眼球を動かす運動のことです。
サッケードは、視覚対象を高い空間解像度をもつ網膜中心窩で捉えるための眼球運動であり、視線を移動する際に視覚情報を遮断しています。
サッケードは、反射的にも随意的にも起こります。

追従眼球運動(パスート)

追従眼球運動(パスート)とは、空間を移動する対象を視線が追随して追いかけるために眼球が徐々に動いていく眼球運動のことです。
追従眼球運動は、網膜像のぶれを防ぎ、良好な視覚を保つ働きがあります。
追従眼球運動は、大脳皮質MT/MST野、背外側橋核、小脳腹側傍片葉などの神経構造に関係しています。

前庭動眼反射(VOR)

前庭動眼反射(VOR)とは、頭部が動いた時に視線を一定に保つために、眼球を反対方向に動かす反射のことです。
前庭器官が頭の動きを検出して、前庭神経核と外眼筋に指令を送ります。
この反射は、網膜上の像のブレをなくす、姿勢保持の役割を担う、小脳による運動学習によって調節されるという特徴があります。
前庭動眼反射はめまいの検査にも用いられます。

視運動性眼振(OKN)

視運動性眼振(OKN)とは、眼前を連続的に移動する対象を正確に追跡するための眼球運動です。
OKNは緩徐相と急速相から構成され、緩徐相は運動刺激を追従する役割を、急速相は次の追従に向けて眼球位置を戻す役割を持ちます。
また、視覚刺激の運動速度に応答し、約30deg/sの刺激速度で飽和します。

OKNは前庭動眼反射と協調して作動し、網膜上の像がぶれないようにします。
臨床的にですが、中枢疾患の補助診断に利用されることがあります。

バージェンス(輻湊・開散)

バージェンス(輻湊・開散)とは、奥行きの異なる物体に両眼を揃えるための眼球運動です。
バージェンスは、両眼の視軸の角度(輻輳角)を変化させることで、対象物を両眼単一視します。
中脳網様体にある輻湊・開散中枢から制御されます。

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