徒手筋力検査(MMT)とは?

リハビリの臨床の検査の一つである”徒手筋力検査(MMT)”。
本記事ではこの徒手筋力検査(MMT)の定義について解説します。

徒手筋力検査(MMT)とは?

徒手筋力テスト(Manual Muscle Test:MMT)は、筋力を評価するための検査法です。
この検査は、医療、整骨医学、カイロプラクティック、物理療法など、さまざまな健康ケアの目的で使用されており、神経筋骨格系の機能障害の診断に役立つとされています。

徒手筋力検査(MMT)はいつ、だれが開発したか?

徒手筋力検査は、20世紀初頭のポリオ流行時に筋力の損失を評価する必要性に応じて、Wilhelmine WrightとRobert W. Lovett 医師によって開発されました1)

オックスフォードスケールについて リハビリの臨床における筋力評価で一般的な方法は、オックスフォードスケールと呼ばれる方法です。 これは別名、”医学研究評議会マニュアル筋力テストスケール”とも呼ばれています。 徒手筋力検査(MMT)の目的

このテストは神経根障害や筋力の低下を評価するために使用され、特に神経学的な症状を証明または説明する際に有用です.
筋力低下が疑われる場合やリハビリテーションの評価にも適しています。

徒手筋力検査(MMT)の注意点

MMTを行う際には、筋肉の代償作用による「ごまかし運動」に注意が必要です。
特に末梢神経障害の診断において、適切な評価を行うために留意すべき事項があります。

信頼性に関する情報

MMTは臨床経験のある理学療法士が行えば、臨床上十分な信頼性があるとされています。
ただし、特定の測定項目においては注意が必要です。

徒手筋力検査(MMT)のメリット

まずは徒手筋力検査(MMT)のメリットについて、ここでは…

  • 筋力の低下を徒手的に評価できる
  • 比較的簡単に実施できる
  • 検査の場所を選ばない
  • 筋肉の弱点を特定し、リハビリテーション計画を立てることができる
  • 筋肉の弱点を特定することで、疾患の診断に役立つことがある

…について解説します。

筋力の低下を徒手的に評価できる

徒手筋力検査(MMT)の主要なメリットは、患者の筋力を非常に効果的に評価できることです。
リハビリセラピストは、患者の特定の筋群の力を直接テストすることにより、筋力の低下を正確に評価できます。
これは筋肉関連の病態や障害を評価し、治療やリハビリテーション計画を適切に調整するために非常に役立ちます。

比較的簡単に実施できる

MMTは、特別な機材や装置を必要とせず、比較的簡単に実施できる方法です。
これにより、患者の診察室やクリニック、さらにはフィールドでの評価が可能になります。
リハビリセラピストは、患者の身体的な状態を迅速に評価し、適切な対策を講じるためにMMTを容易に利用できます。

検査の場所を選ばない

MMTは場所に制約を受けずに実施できるため、医療施設だけでなく、リハビリテーションセンターや自宅環境でも使用できます。
これにより、患者のアクセス性が向上し、必要な評価がより迅速に行えるようになります。

筋肉の弱点を特定し、リハビリテーション計画を立てることができる

MMTは特定の筋群の力を測定するため、患者の筋肉の弱点を正確に特定できます。
これはリハビリテーション計画の立案に重要です。
リハビリセラピストは、患者の弱点を理解し、適切なエクササイズや治療方法を選択し、患者の回復を促進するカスタマイズされた計画を作成できます。

筋肉の弱点を特定することで、疾患の診断に役立つことがある

MMTは単なる筋力評価にとどまらず、特定の筋肉グループの弱点を明らかにすることにより、潜在的な疾患の診断にも寄与します。
例えば、特定の筋肉の異常な弱点は、神経障害や筋肉疾患の兆候として解釈されることがあります。
このような情報は、正確な診断と治療計画の策定に不可欠です。

徒手筋力検査(MMT)のデメリット

では、徒手筋力検査を行うことでのデメリットとはなにがあげられるでしょうか?
ここでは…

  • 客観的に数値化できないことがある
  • 検査者によって評価が異なる可能性がある
  • 意識障害がある場合は評価することができない
  • 検査者は十分な知識と技能を修得しておく必要がある

…について解説します。

客観的に数値化できないことがある

徒手筋力検査(MMT)では、検査者の感覚や力の調整が評価に影響を与える可能性があります。
特にMMT5とMMT4の境界線は、主観的な判断に依存し、異なる検査者が同じ患者を評価する際に一貫性のない結果を示すことがあります。
これにより、客観的な数値化が難しく、評価の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

検査者によって評価が異なる可能性がある

MMTは検査者の主観的な評価に依存するため、異なる検査者が同じ患者を評価する際に一貫性のない結果を出す可能性があります。
検査者の経験やトレーニング、感覚能力の差異が、評価結果に影響を与える可能性があるため、信頼性が低くなることが懸念されます。

意識障害がある場合は評価することができない

MMTは被検査者の協力と自覚的な動作が必要です。
したがって、意識障害がある患者や重度の意識喪失の場合、MMTを適切に実施することが難しくなります。
これは、特に救急医療の状況で問題となる可能性があります。

検査者は十分な知識と技能を修得しておく必要がある

MMTを適切に実施するためには、検査者が筋肉解剖学や評価技術に関する十分な知識と技能を持っていることが重要です。
しかし、検査者間でのトレーニングや経験の差異により、評価の一貫性が低くなる可能性があります。
これにより、異なる検査者が同じ患者を評価する際に異なる結果が生じ、治療計画に影響を与える可能性があります。
十分なトレーニングと標準化が必要です。

参考

1)Research Round-up: Manual Muscle Testing – eCommons

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