記憶障害とは? -定義と種類

“記憶障害”といっても様々な種類があります。
本記事では記憶障害の定義と時間、内容による分類について解説します。

記憶障害とは?

記憶障害とは、過去の出来事についての記憶が抜け落ちてしまう障害のことです。
言い換えると、個人が情報や経験を記憶し、後で取り出す能力に問題がある状態を指します。
これは認知機能障害の一部であり、適切な情報を適切な時点で思い出すことが難しくなることを特徴とします。

記憶障害は短期記憶や長期記憶に影響を及ぼすことがあり、日常生活にさまざまな困難をもたらすことがあります。

記憶障害の時間による分類

記憶力にもいくつか種類があるように、記憶障害にも複数の種類があります。
まずは時間軸における分類として…

  • 短期記憶障害
  • 長期記憶障害

…に大別して解説します。

短期記憶障害

短期記憶障害とは、短い間に起きた新しい情報を記憶する脳機能が低下してしまう障害です。
アルツハイマー型認知症でよくみられています。

今日の日付や食事の内容を忘れる、物の置き場所をすぐ忘れてしまうなどが一般的です。
短期記憶障害の原因は、主に記憶を司る「海馬」の異常とされています。

長期記憶障害

また、長期記憶障害とは、長期的に記憶していた記憶に障害が起こることを指します。
長期記憶は長期間保存した記憶を指しますが、これはさらに”近時記憶”と”遠隔記憶”の2種類に分けられます。

近時記憶は数分から数カ月単位の近い過去の記憶で、遠隔記憶は数日以降発病する以前に学習した記憶です。

長期記憶障害では、数分前から数十年前までの記憶の一部が抜け落ちるのが特徴といえます。

記憶障害の内容による分類

また、記憶障害はその内容によっても分類されます。
ここでは…

  • エピソード記憶障害
  • 意味記憶障害
  • 手続き記憶障害
  • 展望記憶障害

…について解説します。

エピソード記憶障害

エピソード記憶障害とは、自分が体験した出来事や場面を記憶する機能が低下することです。
「家族と旅行にいった」といった思い出が例として挙げられます。

エピソード記憶は、時間や場所などの文脈情報を含む個人的な記憶で、自己のアイデンティティや人生の意味を形成するのに重要な役割を果たします。
エピソード記憶障害は、頭部外傷や心的外傷などによって引き起こされることがあります。

意味記憶障害

意味記憶障害とは、言葉の意味や知識などの記憶が低下することです。
意味記憶は、教科書的な知識やシンボルや概念の操作などを含む一般的な記憶で、言語や思考の基盤となります。

意味記憶障害は、側頭葉前方部の神経変性によって引き起こされることがあります。

手続き記憶障害

手続き記憶障害とは、学習や練習によって身に付けた技術や作業などの記憶が低下することです。
手続き記憶は、自転車に乗る、ピアノを弾くなどの運動性技能や、鏡映描写などの知覚性技能などを含む無意識的な記憶で、大脳基底核や小脳などが関与しています。

手続き記憶障害は、パーキンソン病やハンチントン病などの大脳基底核疾患や小脳変性症などによって引き起こされることがあります。

展望記憶障害

展望記憶障害とは、将来に行う予定や用件などの記憶が低下することです。
展望記憶は、日常生活を円滑に営むために必要な記憶で、頭部外傷や認知症などによって障害されることがあります。

展望記憶障害は、記憶だけでなく、遂行機能やメタ記憶などの前頭葉機能の低下とも関係しています。

同じ記憶障害でも、時間、内容によって複数に分類されるってことだね!
その分類によって介入やアドバイスも変わってきますからね!

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