ヤーガソン検査(Yergason’s test) – 上腕二頭筋長頭腱炎の評価方法について

検査

Yergason’s test(ヤーガソン検査)は、上腕二頭筋長頭腱の異常を調べるための検査です。
本記事では検査方法、診断学的有用性などについて解説します。


Yergason’s testとは?

Yergason’s testは、肘や肩の関節の問題、特に長頭上腕二頭筋腱の異常を診断するための検査になります。
このテストは、特に腱の炎症や不安定性を評価する際に有用です。

Yergason’s testの検査方法

ここではYergason’s testの検査方法について解説します。
検査の流れとしては次の通りになります。

  1. 検査肢位にする
  2. 抵抗を加える
  3. 痛みの有無を確認する

以下に詳しく解説します。

1.検査肢位にする

患者は座位または立位になり、検査する側の肘を90度に曲げます。
肘は患者の体の側に密着させ、前腕は回内の位置に保持します。
この姿勢は、上腕二頭筋腱が適切にテストされるようにするために重要です。

肘を体の側に固定することで、肩の動きを最小限に抑え、テストの精度を高めることができます。

2.抵抗を加える

検査者は患者の手首を掴み、患者に前腕を回外させようとするよう指示します。
同時に、検査者は手首に回外の方向と反対の抵抗を加えます。
この抵抗により、上腕二頭筋腱が活発に働くことになり、潜在的な問題が顕在化する可能性があります。
抵抗の程度は慎重に調節され、患者が快適に感じる範囲内で行う必要があります。

3.痛みの有無を確認する

患者はこの動作中に痛みを感じるかどうかを報告します。
痛みが発生する場合、それは通常、上腕二頭筋腱の炎症、過度の緊張、または腱の不安定性を示しています。
特に、腱の長頭部が肩の関節から外れたり、異常な動きをしたりする場合、このテストで痛みが生じることがよくあります。

痛みの有無だけでなく、痛みの種類や位置も重要な診断情報を提供します。

Yergason’s testの診断学的有用性

Yergason’s testにおける診断学的有用性については次の通りになります。

著者 信頼性 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
Micheroli R,et al(2015) Kappa=0.19 32 88 2.67 0.77
Lasbleiz S,et al(2014) NR 66.7 81.8 3.7 0.41
Ostor AJ,et al(2014) kappa=0.28 NR NR NA NA

NR:報告なし NA:該当なし

Yergason’s testは、上腕二頭筋長頭腱の病変を診断するための検査法としては感度や特異度が低いため、単独での診断には限界があるとされているね!
そのため他の検査法と併用することが推奨されているんですね!

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