Canadian Neurological Scale (CNS)- 脳卒中急性期の評価法について

検査

脳卒中において、発症直後や急性期の段階でのクライアントの状態評価として“Canadian Neurological Scale(CNS)”が評価方法の一つとしてあげられます。
今回はこのCNSの検査項目や方法、カットオフ値についての捉え方などについて解説します。


Canadian Neurological Scale(CNS)とは

The Canadian Neurological Scale (以下CNS)は,意識障害や活気が低い状態の脳卒中患者に対しての標準的神経学的評価になります。
その目的としては、主に意識障害や活気が低い状態である脳卒中直後の、急性期の神経学的状態の評価と監視のための簡便なツールとして利用されることが多いようです。

CNSの実施時間

CNSは比較的短時間で実施でき、おおよそ5-10 分必要とされています。

CNSの検査項目

CNSの検査項目としては大きく以下の2つの項目に分かれています。

  • 精神作用(意識,姿勢,言語レベル)
  • 運動機能(顔,腕,脚)

以下にそれぞれ解説します。

精神作用

意識レベル(Level Consciousness)

まずはクライアントの覚醒の状態を判断します。

覚醒状態 点数 
覚醒している 3.0
覚醒していない 1.5

見当識(Orientation)

ここでは、クライアントは自らの反応を話したり、書いたり、身振りで表現することができます。

1.ここはどこですか?(場所:都市または病院)
2.いまはいつですか?(時間:月or年)

これらの質問に対して、

回答状態 点数 
場所、月、年の両方を正確に記述する 1.0点
1つまたはすべての回答が間違っている 0.0点

従命(Speech)

クライアントに次のような質問を行います(ジェスチャーによって)。

  • 1.目を閉じてください
  • 2.天井を指してください

これらの質問に対して、

回数 点数 
2つとも従命可能 1.0点
1つだけ従命可能 0.5
不可 0.0点

そして“不可”の場合は後述するA2の検査へ移ります。

運動機能

運動機能においてはさらに

  • A1:説明を理解し、実行できる場合に実施される
  • A2:理解の欠如がある状態で実施される

といった二つのセクションに分類されて評価されます。

A1、A2セクションのどちらの場合でも、

  • 上肢近位部
  • 上肢遠位部
  • 下肢近位部
  • 下肢遠位部

の4つの部位に刺激を与えて検査を行います。

A1セクション

クライアントが説明を理解できる状態である“A1セクション”では上記4つの部位に対して以下のような項目と配点になります。

部位 刺激の強度 配点
笑顔をつくるように指示した際の左右差なし 0.5
  笑顔をつくるように指示した際の左右差あり 0.0
上肢近位部 左右差なし 1.5
  ROM問題なし、負荷に抵抗できない 1.0
  ROMと動きに問題あり 0.5
  完全に運動消失 0.0
上肢遠位部 左右差なし 1.5
  ROM問題なし、負荷に抵抗できない 1.0
  ROMと動きに問題あり 0.5
  完全に運動消失 0.0
下肢近位部 左右差なし 1.5
  ROM問題なし、負荷に抵抗できない 1.0
  ROMと動きに問題あり 0.5
  完全に運動消失 0.0
下肢遠位部 左右差なし 1.5
  ROM問題なし、負荷に抵抗できない 1.0
  ROMと動きに問題あり 0.5
  完全に運動消失 0.0

A2セクション

クライアントが説明を理解できない状態である“A2セクション”では次の対して以下のような項目と配点になります。

部位 刺激の強度 配点
笑顔の模倣が左右対称 0.5
  笑顔の模倣が左右非対称 0.0
上肢 90°まで拳上が左右同等レベルまで5秒維持可能 1.5
  90°まで拳上が左右同等レベルまで5秒維持不可 0.0
下肢 90°まで股関節を持ち上げ維持することが左右同等レベルまで5秒維持可能 1.5
  90°まで股関節を持ち上げ維持することが左右同等レベルまで5秒維持可能 0.0

CNSのカットオフ値について

CNSの各セクションの合計点数は11.5になります。
カットオフ値での判断というよりは、この11.5点という合計点内でより点数が低い状態は重症度が高いという判別になるようです。

発症直後、急性期の段階でCNSのような評価を行い重症度をしっかり把握することで、今後の目標設定や作業療法プログラムの立案に役立たせることができるだろうね!
そのためには評価や検査は基準を持ったツールや方法を使用し、ある程度しっかりと数値化しておくことが必要なんでしょうね!

参考

関連文献

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