VRでリハビリを行うと、脳のどの領域が活性化されるのでしょうか?【ま、結局広範囲ですが…】

VR技術によるリハビリテーションへの効果を色々調べていますが、非常に脳の活性化につながることがわかります。

ただ「VRリハビリは脳の活性化にいい」…というだけではやや乱暴なので、どの領域に効果があるのか少し調べてみました。

VRは人間の感覚の90%を支配する?

人間の持つ感覚は主に「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」の5つに分けられます。
現代のVR技術はヘッドマウントディスプレイと立体音響ヘッドフォンによるデザイン、性能から「視覚」と「聴覚」のほとんどを支配することができると言われています。

人間の五感で得られる情報のうち80%は「視覚」からであり、「聴覚」を含めると90%以上と言われています。
つまりVR技術を使用することで対象の人の感覚情報入力の90%以上を支配し、仮想現実を体験させることができるということです。

VRによって活性化が図れる脳の領域について

90%以上の感覚情報入力を支配されると、脳にはどのような影響が及ぶのでしょうか?
脳の領域別で言えば、次の領域の活性化促進といった影響を与えると言われています。

  • 前頭前野
  • 海馬
  • 嗅内皮質
  • 頭頂葉

…以下にそれぞれ解説します。

前頭前野

前頭葉でも特に“前頭前野”は思考や創造性を司る部位になります。
言い換えれば「脳の最高中枢」とされています。
人間の意欲や実行機能を司っているため、非常に社会生活を送る上で重要な領域と言えます。

VRリハビリによる視覚や聴覚への感覚情報入力というよりは、VRリハを行うことでの「動機づけ」によって活性化するという見解もあります。
どちらにしても対象の意欲向上などに有益かもしれませんね。

海馬

海馬は大脳辺縁系の一部で、海馬体の一部でもあります。
タツノオトシゴのような特徴的な形であり、脳の記憶や空間学習能力に関わります。
心的外傷後ストレス症候群(PTSD)やうつ病の患者の場合、多くはこの海馬の委縮がみられると言われています。

VRリハビリが海馬に及ぼす影響ですが、モントリオール大学研究チームによると、VRによるゲームはこの海馬を大きくする効果がある…と発表がありました。

嗅内皮質

海馬傍回にある“嗅内皮質”は皮質と海馬の間にみられる入出力のいわば中継領域であり、空間情報処理に関わっている領域です。
VRゲームによって嗅内皮質も増大するということは、前述したモントリオール大学研究チームによる発表によって明らかにされた結果でもあります。

頭頂葉

頭頂葉は頭(脳)のてっぺんに位置する部位で、身体の各部位の知覚機能・接触・圧力・温度・痛みなどの体性感覚や、他の感覚との統合、認知を司っています。
また、体性感覚以外にも、刺激感覚、空間認識、立体認識、物体認識、読み書きや計算認識など様々な機能に関与します。

まとめ

今回調べたことで、VRをリハビリ訓練として応用することで、非常に幅広く脳への影響があることが分かりました。

リハビリテーションは単純にフィジカルな部分を改善させることだけにとどまらず、社会参加を促すためにはもっと認知や精神、心理面、さらには高次な脳機能面の改善を図っていく必要があります。
感覚情報入力のほとんどを支配することができるVR技術は、中枢疾患に留まらずあらゆる疾患のリハビリテーションに有益と言えますね。

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