着替え…つまり更衣動作をスムーズにする方法の一つに自助具や福祉用具の使用があります。
ADL動作の自立をめざし、生活の質の向上を図る作業療法士にとっては、更衣動作訓練だけでなく自助具や福祉用具の選定も必要になります。
今回は更衣動作に役に立つ自助具や福祉用具について解説します。
更衣動作に対しての自助具について
そもそも“自助具”とは、
身体の不自由な人が日常の生活動作をより便利に、より容易にできるように工夫された道具のこと
…を言います。
以下に更衣動作を行いやすくするための自助具についていくつかご紹介します。
ドレッシングハンド(リーチャー)
このドレッシングハンドは、更衣動作の自助具として使用できるシンプルなリーチャーです。
衣服の着脱、靴下の上げ下ろし動作を補助することが可能です。
フックの先端がC字型と逆側が2連のかぎ型になっているため、物品を引き寄せたり、カーテンを引くといった使い方も可能です。
マジックハンド・リーチャー
このマジックハンドは、はさみの部分の滑り止めゴムによって薄いものや軽い物を挟みやすくなっています。
またこのマジックハンドそのものも軽量でできているため、手首や上肢への負担が少ないことも特徴です。
写真のマジックハンドの商品は、ハンドルの後ろに磁石がついているので、軽金属の物を取るときにも便利です。
ソックスエイド(靴下エイド)
このソックスエイドは足部へのリーチが難しく、靴下を自分で履くことができないという方に最適な自助具になります。
一度手順を覚えてしまえば高齢の方でも一人で使用できます。
クリップ&プル
このクリップ&プルはイギリスの医師と看護師が開発した更衣用自助具になります。
ボタンエイド
このボタンエイドは“針の糸通し”の方法を応用した簡単にシャツのボタン掛けができる自助具です。
巧緻能力が低下しているためボタンをつまむことや操作することが困難な方でも、ボタンをかけることができます。
ロックレース
このロックレースという商品は、靴ひもの代わりにシューズに取り付けることで、靴ひもを結びなおす必要がなくなる…という機能をもっています。
また一度装着すれば外れることがないため、靴ひもがほどけて危険…なんて場合にも非常に有効と言えます。
元々アウトドアやバイク、自転車のユーザー向けに開発された商品のようですが、使い方次第では靴の着脱に関する自助具としても使用できる商品です。
Vela(ベラ)
このVela(ヴェラ)は手を使用せずに座った姿勢で履きこみができる靴べらになります。
靴のかかとを挟み込み、靴べら自体が自立するので靴べらを手で支える必要がなくなります。
ファミカ・シューヘルパー
ファミカ・シューヘルパーは、靴を“脱ぐ”、“履く”の両方をサポートする自助具になります。
マグネットボタン・ホック
自助具…とは少し異なりますが、手芸やハンドメイド用のマグネットホック・ボタンを使用することで、より簡単にボタン掛けと同様の効果を得る事ができます。
まとめ
今回は、更衣動作支援のための自助具や福祉用具、便利グッズの紹介と解説をしました。
生活を支援する作業療法士としては、自助具や福祉用具などの知識も必要になります。
また、これらの道具はどんどん新しいものが開発、販売されるので常にアンテナを張っておく必要もあるといえます。
加えて、自助具や福祉用具以外の転用できそうなグッズにまで意識しておくとよいかもしれませんね。