排尿障害を考えるにあたって、まずは排泄のしくみについて知っておかないといけません。
そこで今回はざっくりですが、排尿のしくみについて、関与する4つの器官を軸に解説します。
排尿のシステムは大きく分けて4つ
排尿に関与する器官は大きく4つの“泌尿器”に分けられ、それぞれの働きによって“排尿”というシステムとして構成されていると言えます。
- 腎臓
- 尿管
- 膀胱
- 尿道
…の4つで構成されています。
端的に言ってしまえば…
- 体内に吸収された水分が“腎臓”で尿となり…
- その尿が“尿管”を経由して…
- “膀胱”内に蓄積され、一定量に達すると尿意を感じ…
- “尿道”を通って体外に排出する
…こんな流れになります。
以下にそれぞれの機能や特徴を説明します。
腎臓
腎臓は尿を分泌する“複合管状腺”で、体内を巡った血液をろ過し、尿をつくる器官になります。
全身を巡った血液は、毛細血管を経由して腎臓によってろ過され原尿となります。
原尿自体は一日に200l程度つくられますが、再吸収をされるので不要な水分や老廃物である尿として残るものは1%程度になります。
尿管
腎臓でつくられた尿を膀胱へ送るための経路になります。
膀胱へ尿を送るには尿管の蠕動によるのですが、この蠕動は1分間に3回程度行なわれ、速度としては2~2cm秒が通常のようです。
尿管の神経支配は交感神経のみであり、尿管上部は腎神経叢、尿管下部は下腹神経の線維を受けています。
ちなみにこの尿管の蠕動運動は神経を切断しても起こる運動になります。
膀胱
尿管から送られてきた尿を蓄えておく器官になります。
通常、膀胱に約150~200mlの尿が蓄積され膀胱内圧が高まることで初めて尿意を感じるようになりますが、この段階では比較的我慢できる程度の尿意のことが多いようです。
しかし300~400mlになると、膀胱内圧の急激な上昇に伴い、膀胱壁の伸長とともに膀胱壁にある伸展受容器が刺激されます。
そしてこの刺激が脊髄→排尿中枢(脳幹)→大脳皮質→排尿中枢(仙髄)に伝わり、非常に強い尿意となります。
この段階までくると我慢することができない場合がほとんどのようです。
尿道
膀胱にたまった尿を外に排出する器官になります。
排尿には内・外尿道括約筋の弛緩と排尿筋の収縮運動が必要になってきますが、これに障害が起こると“尿失禁”もしくは“尿閉”になり生活上の問題に発展していきます。
まとめ
今回はざっくりですが、排尿のしくみについて、関与する4つの器官を軸に解説しました。
基本的なことですが排尿のしくみや関わる器官の働きを知ることで、はじめて排尿のトラブルに対応することができるんだと思うんです。
そのクライアントの排尿障害が、どの段階が原因のトラブルなのかを見極めること。
こういう分析的な視点が、対策や症状改善などの解決策につながるのかなと思うんです