ギターの自作を作業療法のアクティビティにするという提案【架空の症例で検討してみます】

講座

作業療法のアクティビティってなんだか毎回同じで面白みがない…って日頃思ってたりしています。

いや、目的をもって導入するとか、クライアントが望むものだったら問題ないんですよ?
でも、どうせならちょっと斬新な切り口のアクティビティがあってもいいんじゃないかと(笑)

というわけで今回は「ギター制作は作業療法のアクティビティになるのか?」について考えてみます。

作業療法×ギター制作の可能性について


もちろんギター制作が作業療法として有効なのか?って思ってしまうのは当然といえば当然です。
あまり前例はないでしょうからね。
しかし、多くの人がこの趣味を通じて心身の健康に良い影響を受けていることは明らかですからね。

対象について

それこそ対象の疾患は身体障害、精神障害、発達障害に関わらず対象とできると思います。
もちろんもともと楽器…特にギターに関わっていたっていう”作業活動歴”が必要でしょうけどね。

勝手に架空の事例をイメージしてみた

架空ですが、事例をイメージして考えてみます。
たとえば…

趣味でギターを弾くのが好きだったという方が脳卒中片麻痺の障害でギター演奏が困難になってしまったAさん。
生きがいであったギター演奏ができなくなり気分落ち込みが強く、入院中のリハビリも拒否的な状態。

そこで担当の作業療法士はクライアントが生活の中にギターと関わることを全くのゼロにするのではなく、「演奏する側」から「制作する側」にシフトチェンジをするため作業療法プログラムでギター制作を導入。
片麻痺でも制作できるように環境設定や代替手段を検討しながらまずは1本制作することを目指す。

ギター制作の作業活動を行うことで、クライアントの意欲向上、離床機会の増大、麻痺側上肢の補助手としての作業参加が得られるようになる。
その後、自分ひとり(or家族の簡単な補助)でも制作できるようにアドバイスしたうえで、退院へ。

数か月後、自宅で制作したギターを「お世話になったから」ということで入院していた病院に寄贈してもらうまでになる…。

…なんて展開になったらすごい素敵だと思いませんか??
(あくまで希望的観測も含んだ架空の事例イメージですのでご了承ください。笑)

得られる効果について

上記の事例はあくまでイメージですが、導入次第ではギター制作という作業活動を通して…

  • 意欲の向上
  • 趣味活動の創出
  • 離床機会の創出
  • 麻痺側上肢の機能訓練
  • 制作工程を計画するといったプロセス技能の訓練
  • 社会参加、役割の創出

…といったものの恩恵を得る可能性があります!

それこそ、架空の症例Aさんがその後「国内ギタークラフトメーカーESPの障害雇用枠で再就職!」なんてなったら最高ですけどね!

でもギター制作って難しそう…

とは言っても、作業療法プログラムで「ギターを作りたい!」となっても一から制作するのは非常に難しいと思います(当然ですが)。

実際のギター制作って…

  • 木材の選定
  • 加工からネックの制作
  • フレットの調整
  • 塗装
  • 内部の電装パーツの配線
  • ペグの取り付け

…などとんでもない工程数です。

下記の動画を見ていただけでばわかりますが、必要な工具だって電動のこぎりや電動糸鋸などもう大がかりです…。

作業療法アクティビティにギター制作を選択する際の注意点を考えてみた

作業療法プログラム内でのアクティビティでギター制作を行う際の注意点ですが…

  • 余裕のある時間を確保する
  • 塗装の場所を確保する
  • 工具をきちんとそろえる
  • 補助のレベルを把握する
  • 「楽しむ」ことを忘れない

…などがあげられるかなと。
以下にそれぞれ解説します。

余裕のある時間を確保する

まずはやはり制作に結構時間がかかるていう点です。
1日どのくらいの時間を費やすのかにもよりますが、一般的には2日~4日程度はかかるようです。
限られた作業療法の時間内で行うためには余裕をもった日数、時間を確保したうえで導入する必要があります。

作業の場所を確保する

加工自体は組み立てるだけなので障壁は低いでしょうけど、問題は塗装なのかなと思います。
地域での作業療法ならまだしも、入院中となったらそれこそリスク管理はしっかりしないといけません。

呼吸器系に問題はないかどうか、担当医師に確認し許可をもらった上で塗装の工程を踏んだほうがいいかもしれませんね!

工具をきちんとそろえる

アコースティックギターならまだいいでしょうけど、エレキギターの場合電気関係のパーツはハンダで配線処理されているものが多いんです。
それでもハンダゴテとハンダを準備しておいて損はないかと思います!

その他必要な工具を事前に準備したうえで導入する必要があります!

諦めない

なにより作業療法士自身が“諦めない”ことが重要かと。
アクティビティとしてはやはりレベルが高いものなので導入を促した作業療法士自身が挫折しがちかもしれません。

そのためには気持ちに余裕をもって制作する必要があるんでしょうね。

「楽しむ」ことを忘れない

意外に大事な精神論(笑)
クライアント自身も支援する側である作業療法士も「あれ?なんで俺こんな苦労してるんだろ?」って我に返ってしまうと一気にモチベーションが下がってしまいます(苦笑)

なにより楽しんで制作することが必要かと!

あ、ギター制作はキットが楽かも!

あくまで作業療法におけるアクティビティでのギター制作でしたら、導入しやすい方法を選択する必要があります。
そうなるとやはり初めから必要なパーツがそろってある“キット”から始めたほうがスムーズなんじゃないかと。

そこでどんな種類があるのか調べてみると、意外とAmazonnでも基本的なギターの種類はそろっているようですね!

クライアントの好みのギター、好きなギタリストなどから選択するのも面白いかもしれません!

ストラトタイプ



画像:DIYエレキギターキット

ギターの神様、エリッククラプトンが頻繁に使用しているタイプがこのストラトギターです!

レスポールタイプ



画像:LPギター素材キットマホガニーネック

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく」の主人公が演奏しているギターがこのレスポールタイプですね!
作中では黒のGibson レスポールです。

セミアコ―スティックギタータイプ



画像:MUSOO プロジェクト セミ ホロー DIY エレクトリック ギター キット


ビートルズのジョン・レノンがよく使っていたのがこのセミアコースティックギター!
ロックンロールやブルースのギタリストが愛用しているイメージですね!

アコ―スティックギタータイプ



画像:HOSCO ドレッドノート アコースティックギターキット

エレキギターだけでなく、アコースティックギターの制作キットももちろんあるようです!
ちなみに動画は海外の路上アーティストで、足だけでアコースティックギターを演奏しています!!

まとめ

今回は「ギター制作は作業療法のアクティビティになるのか?」について解説しました。

改めてこうやって掘り下げて考えてみると、作業療法でギター制作も結構アリなんじゃないでしょうかね?(笑)
材料費がかかっちゃうのがちょっと難ですけど、、、こういう選択肢の幅を作業療法士は知っておくことも必要なんだと思うんです!

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