カッツインデックス(Katz Index)- 概要・採点方法について

カッツインデックス(Katz Index)- 概要・採点方法について 検査

ADLの評価の一つである“カッツインデックス(Katz Activities of Daily Living Index:Katz Index)”。
本記事ではこの目的や方法などについて解説します。


カッツインデックス(Katz Activities of Daily Living Index)とは?

カッツインデックス(Katz Activities of Daily Living Index:Katz Index)は、アメリカのクリーブランドのBenjamin Rose病院のスタッフが開発したADLの評価ツールになります。
8年間かけて1001症例(2000以上の評価結果)から開発され、1959年に“Journal of chronic Diseases誌”に最初に報告されたようです。

このツールは、入浴、更衣、トイレ、移乗、排泄、食事の自立度や介助度を判断する項目と段階付けで構成されています。
各項目は、自立か介助かの二択で判断され、自立した項目数に応じてA~Gに段階付けされます。

そのためカッツインデックスは、老化や慢性疾患の治療、予後研究や投薬治療効果比較などの論文に使われていました。

高齢者のADL能力の衰退パターンについて

開発者のカッツ(Katz)らは、「高齢期患者のADL機能の衰退には一定の順序が認められる」と主張しました。

その主張とは…

  • 成人ははじめ、入浴、更衣など6種のADL領域のすべてにおいて自立している(指標A)
  • やがて6つのうちの1つに自立性を失う(指標B)
  • さらに入浴とその他の1つ(以下順次、更衣、トイレへの移動)の自立性が失われていく(指標C)
  • 最後はすべての自立性が失われる。

…ということになります。
以下にそれぞれ解説します。

指標A – 完全自立

成人は最初、入浴、更衣、食事、トイレ使用、移動、排泄の6つの基本的なADL領域において完全に自立しています。
この段階では、個人は日常生活に必要な基本的な活動をすべて自分で行うことができ、介護や支援は必要ありません。

この自立性は、身体的、認知的機能が充分に保たれていることを示しており、健康な高齢者の典型的な状態です。

指標B – 部分的自立の喪失

この段階では、6つのADL領域のうち少なくとも1つにおいて自立性を失います。
たとえば、入浴や着替えなどの活動で支援が必要になるかもしれません。
この変化は、身体的な限界や健康の問題が始まっていることを示唆しています。

ここではまだ他の活動においては自立しているため、部分的な支援で日常生活を送ることが可能です。

指標C – 追加の自立性喪失

この段階では、入浴とその他の1つ以上のADL領域(例えば更衣やトイレへの移動)で自立性が失われます。
この段階では、個人の自立性はさらに低下し、複数の日常活動において支援が必要になります。
身体的、認知的な問題が進行している可能性があり、より包括的なケアや介護が必要になる可能性が高まります。

最終段階

最終段階では、すべての自立性が失われ、個人は日常生活のあらゆる面で完全な介護を必要とするようになります。

カッツインデックスは、このような段階的なADL能力の変化を追跡し、適切なケアレベルを決定するのに役立つんだね!
多くの高齢者はこの順序でADL能力が低下していく…ということですね。

採点方法について

上述した機能衰退はヒトの発達や系統発生の順序の逆になります。
そのうえで、カッツインデックスは以下の取決めに従って動作領域の自立か依存を判定し、それを勘案してA~GおよびOの判定に進むことになっています。

特徴としては、実際に行っている生活動作である…

  • 食事
  • 更衣
  • 入浴
  • 移動
  • トイレに行く
  • 排泄
  • コントロール

…の6領域で、機能的に自立しているか依存しているかを評価します。

それに基づき、A~Gの7段階に分類します。
(この場合の“自立”とは、監視、指示、介助なしを意味します。)

  • A:入浴、更衣、トイレに行く、移乗、尿便禁制、食事のすべての領域で自立している
  • B:上記の領域のうち、5領域が自立している
  • C:上記の領域のうち、入浴ともう1つの領域を除き、4領域で自立している
  • D:上記の領域のうち、入浴と更衣ともう1つの領域を除き、3領域で自立している
  • E:上記の領域のうち、入浴と更衣とトイレに行くともう1つの領域を除き、2領域で自立している
  • F:上記の領域のうち、入浴と更衣とトイレに行く、移乗ともう1つの領域を除き、1領域で自立している
  • G:すべて依存している
  • O(その他):少なくとも2つは依存している。ただしC,D,E,Fに分類されない

入浴(スポンジ、シャワー、浴槽)

  • 自立:浴槽の出はいりが自立、身体の一部(背中、脚)に介助を要する
  • 依存:身体の複数の部位、あるいは入浴をしない

更衣

たんすや引き出しから衣類を取り出す。下着、上着、ファスナー操作、(使用するならば)装具の装着を含む

  • 自立:衣類を取り出し、1人でできる。靴紐を結ぶことは除く
  • 依存:衣類の取り出しや更衣に援助が必要。またはまったくできない

トイレに行く

  • 自立:トイレに行く、排泄後の後始末をする。下着を整える。夜間の便器の使用
  • 依存:排泄の後始末、下着を整える、便器の使用に介助を要する、または全介助を要する

移乗

  • 自立:介助なしでベッドや椅子の出入りができる。杖やウォーカーを使用しても構わない
  • 依存:ベッドやいすの出入りに介助が必要である。ベッドから出入りしない

尿便意禁制

  • 自立:排尿、排便は1人で可能
  • 依存:失禁がある。下剤やカテーテル、排尿、排便に介助を要する

食事

  • 自立:皿から口へ食べ物を運ぶ(肉を切る、パンにバターをつけることは除く)
  • 依存:上記に介助を要する:経管栄養

ADLの評価でよく使われているのはBarthal IndexやFIMになりますが、今回の“カッツインデックス”のようなADL評価もあるということは知っておいて損はないはずだね!
特にKatsが主張した「高齢期患者のADL機能の衰退には一定の順序が認められる」という意見も、高齢のクライアントの予後予測に貢献できるでしょうからね!

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