FIM(問題解決)- 評価ポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

検査

FIM(Functional Independence Measure)の問題解決項目は、日常生活における金銭的、社会的、個人的な問題に対する合理的かつ安全な判断と行動力を評価し、患者の自立度を測定するための指標です。
本記事ではFIM(問題解決)評価ポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける問題解決の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の問題解決項目は、日常生活における合理的かつ安全な決断能力と問題解決能力を評価します。
具体的には、金銭的、社会的、個人的な出来事に関して、適切な判断を下し、行動を開始し、継続し、自分で修正する能力が評価対象となります。

この評価は、完全自立(7点)から全介助(1点)までの7段階で行われ、各段階は患者がどの程度問題を解決できるかに基づいて細かく定義されています。

FIM(問題解決)の評価対象の項目

FIMの問題解決項目では、以下のような日常生活上の問題解決に関連した技能が評価対象となります。

  • 金銭的な問題解決
  • 社会的な問題解決
  • 個人的な問題解決

それぞれ解説します。

金銭的な問題解決

金銭的な問題解決能力は、日常生活で非常に重要なスキルであり、FIMの評価項目の一つです。
この能力には、収入と支出のバランスを取る財政管理、月々の予算計画、緊急時の資金確保、投資判断、借金の返済計画などが含まれます。
例えば、患者が毎月の収入を把握し、その範囲内で適切に支出を管理し、予期せぬ出費にも備えることができるかどうかが評価されます。
複雑な財政管理を行うためには、基本的な計算能力だけでなく、将来を見据えた計画性や柔軟な対応力も求められます。

このスキルが高いと、患者は経済的な自立を維持しやすくなり、精神的な安定にも寄与するため、リハビリテーションの一環として重要視されます。

社会的な問題解決

社会的な問題解決能力は、人間関係やコミュニケーションに関連した問題を効果的に解決する力を指します。
この能力には、対人関係のトラブルを解決するためのコミュニケーションスキル、ストレス管理、感情のコントロール、他者との協力関係の構築などが含まれます。
例えば、患者が職場での同僚や上司との意見の違いをうまく調整し、友人や家族との対立を解決するために建設的な話し合いを持つことができるかどうかが評価されます。
このスキルが高いと、患者は社会的な孤立を防ぎ、健全な人間関係を維持することができ、全体的な生活の質の向上につながります。

リハビリテーションにおいては、社会的な支援ネットワークの活用やグループ活動の参加を通じて、この能力の向上が図られます。

個人的な問題解決

個人的な問題解決能力は、健康管理や時間管理など、個人の生活に直結する問題を効果的に解決する力を評価します。
この能力には、日々の健康状態をチェックし、適切な医療を受けるための自己管理能力、スケジュールの調整、目標設定とその達成のための計画立案などが含まれます。
例えば、患者が定期的に健康診断を受けたり、薬を適切に服用したり、運動や栄養管理を行う能力が評価されます。
また、限られた時間の中で優先順位をつけ、効率的にタスクをこなすことができるかも重要な評価ポイントです。
このスキルが高いと、患者は独立した生活を維持しやすくなり、自己効力感が高まります。

リハビリテーションでは、個別の目標設定とその達成に向けたサポートが行われます。

これらの項目は、患者が日常生活で遭遇する可能性のある一般的な問題解決のシチュエーションをカバーしているんだ!
評価は、患者がこれらの問題をどの程度自立して解決できるか、またはどの程度の支援が必要かに基づいて行われるんですね!

FIM(問題解決)の採点基準

FIM(問題解決)の採点基準と具体例は以下とのとおりになります。

7点(完全自立)

基準: 一貫して問題を認識し、適切な決断を下す。複雑な問題を解決するための一連の方針を立て、実行し、誤りがあれば自分で修正する。
例: 患者が予算を立て、収入と支出を管理し、予期せぬ出費にも対応する。

6点(修正自立)

基準: ほとんどの場面で複雑な問題を認識し、適切な決断を下し、問題解決のための一連の方針を立て、実行するが、わずかな困難を伴う。複雑な問題について決断を下し解決するのに通常以上の時間がかかる。
例: 患者がほとんどの場面で予算を立て、収入と支出を管理できるが、時々計算ミスを修正するために時間がかかる。

5点(監視)

基準: 緊張する状況や不慣れな状況でのみ日常の問題解決のために監視が必要(例えば指示または促し)。日常の問題に対して的外れな行動、危険な行動を取る、行動しない場合が10%未満。
例: 患者が日常的には自分で買い物や支払いを行えるが、ストレスの多い状況では指示が必要。

4点(最小介助・指示)

基準: 日常の問題の75%以上90%未満を解決することができる。
例: 患者が自分でほとんどの買い物を行えるが、特定の場面で時々助けが必要。

3点(中等度介助・指示)

基準: 日常の問題の50%以上75%未満を解決することができる。
例: 患者が自分で買い物の計画を立てるが、実行するために頻繁に介助が必要。

2点(最大介助・指示)

基準: 日常の問題の25%以上50%未満を解決することができる。簡単な日常の活動を開始し、計画し、遂行するのに半分以上の場面では指示が必要。安全のために抑制を必要とすることもある。
例: 患者が自分で一部の買い物リストを作成できるが、実行はほとんど介助が必要。

1点(全介助)

基準: 日常の問題の25%未満しか解決することができない。ほとんどいつも指示を要し、また効果的に問題を解決しない。簡単な日常の活動を遂行するために常に1対1の指示を要する。安全のために抑制を必要とすることもある。
例: 患者が買い物リストを作成できず、全ての買い物を他者に依存している。

FIMの問題解決項目は、患者の日常生活における問題解決能力を7段階で評価し、完全自立から全介助までの範囲で測定するんだ!
これにより、患者がどの程度独立して金銭的、社会的、個人的な問題を解決できるかを把握し、適切な支援を提供するための重要な基準となるんですね!

FIM(問題解決)評価の注意点

FIM(問題解決)評価の注意点としてここでは…

  • 評価対象に注意
  • 問題の種類は2つ
  • 全体像の評価を行うこと
  • 勉強や専門知識のいる問題解決は含まれない
  • 的外れな行動や危険な行動の評価に対して

…について解説します。

評価対象に注意

FIM(Functional Independence Measure)の問題解決項目では、日常生活上の金銭的、社会的、個人的な問題に対する合理的かつ安全な判断とタイミングよく行動する能力を評価します。
具体的には、問題を認識し、適切な決断を下し、行動に移せるかどうかが評価のポイントです。
この評価は、問題自体を解決できるかどうかよりも、問題に対してどのように対応するかに重きを置いています。
例えば、金銭管理においては、収入と支出のバランスを取るための計画を立て、実行に移し、必要に応じて修正する能力が求められます。
これにより、患者が日常生活においてどの程度独立して問題に対応できるかを把握することができます。

問題の種類は2つ

FIMの問題解決の評価は、「複雑な問題」と「日常の問題」の二つに分かれます。
複雑な問題には、金銭管理、退院計画、薬の管理、対人トラブルの処理、仕事や職業の内容などが含まれ、これらは患者にとって高度な判断力と計画性が求められます。
一方、日常の問題には、日常の課題への対処、日常で起こる不慮の事態や危険への対応などが含まれ、これらは日々の生活で頻繁に遭遇する問題です。
評価は、これらの問題に対して患者がどの程度自立して対応できるかを測るものであり、複雑な問題と日常の問題の両方を総合的に判断することが求められます。

これにより、患者の総合的な問題解決能力が評価されます。

全体像の評価を行うこと

FIMの問題解決能力の評価においては、単一の問題解決場面にとどまらず、全体像を捉えることが重要です。
つまり、複数の場面や状況における患者の対応能力を総合的に評価し、どの程度一貫して適切な判断と行動ができるかを見極める必要があります。
例えば、日常生活での小さなトラブルから大きな困難まで、幅広い問題に対してどのように対応するかを観察します。
このようにして、患者が日常生活全般においてどれだけ自立しているかを総合的に判断することができます。

全体像を把握することで、適切な支援や介入の方針を立てやすくなります。

勉強や専門知識のいる問題解決は含まれない

FIMの評価では、特定の専門知識や勉強が必要な問題解決は含まれません。
評価の対象は、日常生活において頻繁に遭遇する問題に対する対応能力であり、専門的な知識が要求される状況は評価の範囲外とされています。
例えば、法律に関する問題や高度な医療判断などは含まれず、日常的な判断力と行動力に焦点を当てています。
また、必ずしも自分一人で解決する必要はなく、他者の助けを借りて問題を解決する能力も評価に含まれます。

これにより、現実的な日常生活の自立度が正確に反映されます。

的外れな行動や危険な行動の評価に対して

FIMの評価では、問題に対して「的外れな行動」「危険な行動をとる」「行動しない」などの状況は減点の対象となります。
評価は、患者が問題に直面した際にどのような行動を取るかに重点を置き、適切な対応ができない場合にはその理由を考慮します。
例えば、火災の際に適切な避難行動を取れない場合や、金銭管理で大きなミスを繰り返す場合などは、患者の安全と自立に重大な影響を及ぼすため、厳しく評価されます。

これにより、患者が日常生活でどの程度安全に独立して生活できるかを正確に把握し、必要な支援を提供するための基礎情報が得られます。

FIMの問題解決項目は、日常生活における金銭的、社会的、個人的な問題に対する合理的かつ安全な判断と行動力を評価し、患者の自立度を測定するんだ!
評価は問題の認識と対応能力に焦点を当て、全体像を捉えた包括的な判断が重要なんですね!

タイトルとURLをコピーしました